最終更新日: 2025/1/13
「事業承継税制とは、どんな制度か知りたい」
「自社で事業承継税制を使えるのか知りたい」
このようにお考えではありませんか?
そこで、今回は事業承継税制の概要やメリット、利用する際の注意点を解説します。
なお、弊社のシェアモルM&Aは、
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事業承継税制は、一定の条件の下で、承継時に納めなければならない相続税や贈与税の猶予を受けられる制度です。
事業承継税制を使えば、納税の負担を軽くし、スムーズな事業の承継を実現できます。
さらに、将来的に後継者が次の後継者に事業をつなげられれば、猶予を受けている税金の免除も可能です。
ただし、利用には「特例承継計画」の提出など一定の手続きをした上で、適用後にも決められた要件を満たし続ける必要があります。
事業承継税制の背景としては、中小企業の抱える後継者問題があります。
日本では中小企業において「経営者の高齢化が進むにもかかわらず、なかなか後継者が決まらない」という問題が深刻化しています。
また後継者候補がいる場合でも、承継時の贈与税や相続税の重さから、事業承継が困難になるケースも少なくありません。
このような「後継者が見つからない」あるいは「資金的に後を継ぐのが困難で、廃業せざるを得ない」といった問題に対する対策の一つとして設けられたのが「事業承継税制」です。
事業承継税制は2018年(平成30年)の税制改正により見直しが行われ、今までの一般措置に加えて10年間限定の特例措置が設けられました。
特例措置のポイントは、以下の5点です。
一般措置では、対象となるのは「総株式数の3分の2まで」が上限でした。
一方、特例措置では対象が「全株式」に広がり、さらに猶予割合は100%に拡大されています。
また、事業承継税制を利用する上でネックとなっていた「継承後5年間、雇用8割を維持すること」という雇用確保要件も見直され、特例措置では事実上撤廃されています。
特例措置はかなり利用しやすい制度となっていますが、10年間限定の措置ですので注意が必要です。
特例措置を利用できるのは、2026年(令和8年)3月31日までに「特例承継計画」を提出し、2027年(令和9年)12月31日までに贈与または相続により会社の株式を取得した場合に限られます。
事業承継税制を使うメリットは、以下の4つです。
それぞれ解説します。
メリットの1つ目は、事業を引き継ぐ際にかかる税負担を抑えられることです。
事業を受け継ぐ際には、受け継ぐ自社株の価値に応じた贈与税または相続税が課せられます。
しかし、後継者はキャッシュを相続するわけではないため、事業承継時には非常に大きな負担を負うことになります。
事業承継時、事業承継税制を使えば納税を猶予してもらえるため、後継者の税負担を抑えられるでしょう。
メリットの2つ目は、一定の条件を満たした場合に納税が免除されることです。
事業承継税制を使えば、継承時にかかる贈与税や相続税の納税を先延ばしにできます。
そして、さらに一定の条件を満たすことができれば、猶予を受けている納税を免除してもらえます。
納税免除に関する一定の条件については次の章で解説しております。
つまり、本来は事業を承継するたびに税金を納めなければなりませんが、条件を満たしていれば事業承継税制により贈与税・相続税を支払わずに事業の継続が可能です。
メリットの3つ目は、事業承継時の株価対策が不要になることです。
事業を承継する際、自社株の評価額が高いほど、支払う贈与税や相続税の金額は上がります。
そこで、後継者が納税資金の調達に苦しまないよう、役員退職金の支給で損金算入するなどして自社株の引き下げ対策の必要があります。
一方、事業承継税制を使う場合は、納税を猶予してもらえるため株価対策は不要です。
メリットの4つ目は、事業承継税制を使うと、本来なら納税に回すはずだった資金を事業に回せることです。
事業に使える資金が増えれば、後継者が取れる選択肢も増え、継承後の企業成長にもつながるでしょう。
事業承継税制の主な手続きは、以下のとおりです。
出典元:中小企業庁
特例措置を使う場合は、まずは都道府県庁へ「特例承認計画」の提出が必要です。
都道府県庁へ「特例承認計画」の提出後、事業を継承したら都道府県庁および税務署で必要な申請を行い、これらの手続きが済むと納税の猶予期間が始まります。
猶予を受け続けるためにはさらに、制度が適用された後の5年間は毎年、年次報告書および継続届出書の提出が必要です。
また、6年目以降は3年に1度、継続届出書を提出する必要があります。
これらの報告を1度でも怠ると猶予期間は打ち切られ、納税の義務が発生するので注意しましょう。
事業承継税制の利用には、満たすべき要件があります。
以下の5つに分けて解説します。
まずは、会社が満たすべき要件を紹介します。
中小企業とは、業種ごとに資本金・従業員数で以下の基準を満たす企業です。
業種 | 資本金の額または出資の総額 | 常時使用する従業員の数 |
---|---|---|
製造業・建設業・運輸業・その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
参考:中小企業庁
事業承継税制を使うためには、中小企業であり、さらに上場企業・風俗営業・資産管理会社のいずれにも当てはまらない必要があります。
先代の経営者が満たさなければならない要件は、主に以下の3つです。
先代の経営者は、代表取締役に就いていた期間があれば、贈与直前に代表取締役でなくてもかまいません。
続いては、事業を引き継ぐ後継者が満たさなければならない要件です。
以上は、贈与の場合における要件です。
相続における要件もほぼ同様ですが、相続前の役員任期に「3年間」という縛りはありません。
ただし、相続開始の直前に役員であり、相続開始後5ヶ月のうちに代表取締役に就任することが条件となります。
いずれにしても後継者は役員に就いている必要があるため、後継者として考えている人物がいる場合には、あらかじめ役員に就けておくことが重要です。
ここまでで紹介した「会社が満たす要件」「先代の経営者が満たす要件」「後継者が満たす要件」をクリアすると、事業承継税制をスタートし、納税を猶予してもらえます。
しかし事業承継税制スタート後、以下の事由に該当してしまうと猶予期間が打ち切られてしまいます。
事業承継税制を使った場合には、承継した後5年間は後継者が代表取締役であり続ける必要があり、さらに対象株式を1株たりとも手放してはいけません。
また、年次報告書および継続届出書の提出を怠った場合にも、制度の適用は途中で取り消されてしまいます。
もし、納税の猶予が打ち切られた場合には、利息をつけて税金を支払う必要があります。
事業承継税制を使って事業を継承した場合、5年以上経過した後にもう一度事業承継税制を使って次の後継者に事業をつなげられれば、猶予されていた贈与税や相続税を免除してもらえます。
本来は事業を承継する度に、税金を納める必要があります。
しかし、事業承継税制を使えば、贈与税・相続税を支払わずに事業の継続が可能です。
事業承継税制を活用して承継した場合、すでに紹介した「5年以上経過後にもう一度事業承継税制を使って次の後継者に事業をつなぐ」以外にも、納税の免除を受けられるケースがあります。
猶予を受けていた贈与税・相続税が免除される主な事由は、以下のとおりです。
免除のためには、承継した後継者が5年間は事業を維持することが重要です。
メリットの大きい事業承継税制ですが、活用には以下の注意点があります。
それぞれ解説します。
注意点の1つ目は、打切事由が多いことです。
事業承継税制は、適用のための要件が細かく定められています。
さらに「適用されて終わり」ではなく、適用後も要件を満たし続けなければなりません。
そして、事業承継税制の取消事由は数が多く、相続・贈与ともに20以上の項目があります。
納税猶予期間中に適用要件から外れた場合には猶予は打ち切られ、贈与税または相続税と合わせて利息を納付しなければなりません。
注意点の2つ目は、承継後に廃業すると利息が発生することです。
事業承継税制では、事業を引き継いだ後継者が次の代につなげられず廃業した場合、猶予税額を利息とともに支払わなければなりません。
ただし、猶予されていた税金は本来であれば払うべきものであり、承継できなかった場合の実質的な追加負担は利息分となります。
そのため、将来的な後継者が事業を引き継ぐか分からない場合には、免除される税額と利息の金額を考慮して事業承継税制の活用を検討する必要があります。
注意点の3つ目は、特例措置には適用期限があることです。
「全株式を対象に100%の割合で納税を猶予」「雇用8割の維持要件の実質的な撤廃」「将来的な売却・廃業時の税負担の軽減」といった特例措置は、10年間限定の措置です。
2026年3月31日までに「特例承継計画」を都道府県に提出し、2027年12月31日までに事業を承継する必要があるため、活用を考えている場合は期限に間に合うよう早めに計画する必要があります。
注意点の4つ目は、事業承継税制の手続きが煩雑であることです。
事前に経営計画の作成と提出が必要な上に、事業承継税制の適用後にも5年間は毎年、報告書を都道府県庁と税務署に提出する必要があります。
さらに、6年目以降にも3年に1度は継続届出書を税務署に提出しなければなりません。
利用要件が細かく手続きも煩雑なため、専門家への相談が必要不可欠ですが、対応できる専門家が少ないのも難点です。
今回は、事業承継税制の概要やメリットと合わせて、利用する際の注意点を解説しました。
事業承継税制は、承継時における納税の負担を軽減できるメリットの大きな制度です。
一方で、長期間に渡って満たすべき要件が多数あり、廃業する際には利息がかかるといったデメリットもあります。
事業承継税制を活用する場合は内容をしっかりと把握した上で「自社にとってメリットとデメリットのどちらが大きいか」を考慮することが大切です。
また、親族や社内に後継者候補が見つからない場合には、M&Aによる第三者への承継も選択肢のひとつです。
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シェアモルM&Aでは無料相談を実施しておりますので、こちらよりお気軽にお問い合わせください。
最終更新日: 2025/1/13
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齋藤 康輔シェアモル株式会社 代表取締役
東京大学教養学部基礎科学科在学中に、半導体(シリコン)のシミュレーションを専攻する傍ら、人材会社にてインターン。
インターン中に人材会社向け業務システムを開発し、 大学卒業後の1年間、上記人材会社にて勤務後、 共同出資で2007年3月に上記システム「マッチングッド」を販売する会社、 マッチングッド株式会社を設立。
12年の経営の後、2019年1月に東証プライム上場企業の株式会社じげんに株式譲渡。
2019年9月、売却資金を元手に、シェアモル株式会社を設立。
自身のM&Aの経験から、買い主と売り主の間での情報の非対称性や、 M&A仲介会社が出している付加価値に疑問を感じ、 自身が思わず依頼したくなるような、 付加価値の高いM&A仲介サービスを提供したいと強く思い、 IT技術をフル活用したM&A仲介事業「シェアモルM&A」をスタート。
現在はシェアモルM&Aと、SEOに強い文章をAIが作成する「トランスコープ」を展開中。