最終更新日: 2025/1/13
「エンジェル税制を使って、株式の譲渡対価を節税する仕組みを知りたい」
「エンジェル税制は、どのくらいの節税効果がある?」
エンジェル税制を活用したい方の中には、上記のように制度の仕組みや節税効果について、知りたいのではないでしょうか。
本記事では株式売却時にかかる譲渡対価を、エンジェル税制によって節税する方法について、分かりやすく解説しております。
また、譲渡益や譲渡損失が発生した場合の節税効果も解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
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エンジェル税制とは、個人投資家が新興企業やスタートアップ企業への投資を支援する優遇措置です。
エンジェル税制により、投資家が新興企業に投資した際や、株式を譲渡した際に税負担が軽減されます。
まずは、エンジェル税制の下記3点について解説します。
エンジェル税制の基本を押さえておきましょう。
エンジェル税制による優遇措置を受けるためには、「企業要件」と「個人投資家要件」を全て満たさなければなりません。
企業要件は以下のとおりです。
また、個人投資家要件は以下のとおりです。
東京都産業労働局によれば申請が取り下げられる原因として、企業要件1や個人投資家要件1および2に反している傾向が多いため、事前に確認してください。
要件を満たして、優遇措置を受けられる状態にしておきましょう。
企業や個人投資家によっては、税優遇を受けられません。
東京都産業労働局によると、税優遇が受けられない企業は、以下のとおりです。
また、税優遇が受けられない個人投資家は、以下のとおりです。
税優遇が受けられるかどうか、事前に確認しておきましょう。
エンジェル税制は、企業・個人投資家それぞれにメリットがあります。
企業のメリット | 個人投資家のメリット |
---|---|
・資金調達がスムーズになる | ・税制優遇によってリターンが向上する |
・事業の成長促進となり、企業価値が向上する | ・投資リスクが軽減されて投資しやすくなる |
・企業売却時に有利な条件で売却できる可能性が高まる | ・購入や売却によって所得税や住民税を節税できる |
エンジェル税制は、新興企業やスタートアップ企業にとって資金調達ができ、個人投資家は節税効果を得られるメリットがあります。
エンジェル税制を最大限活用して、メリットを引き出しましょう。
エンジェル税制には、3つの優遇措置があります。
1つずつ内容を解説します。
優遇措置Aは、投資家が設立5年未満である企業に対する投資金額の一部を、総所得より控除可能です。
対象の投資先 | 設立5年未満の企業 |
---|---|
株式取得時点:控除対象 | 「投資額-2,000円」を総所得金額から控除 |
株式取得時点:控除上限額 |
どちらか低い方 |
株式売却時点:優遇措置の内容 | 課税の繰延 |
株式売却時点:譲渡益の算定 | 取得価額の調整あり |
投資先の企業が5年未満で、早期に節税効果を得たい場合は、優遇措置Aを選択すると良いでしょう。
優遇措置Bでは、他社株式売却による収益から投資金全額を差し引くことが可能です。
対象の投資先 | 設立10年未満の企業 |
---|---|
株式取得時点:控除対象 | 他社株式売却による収益から、投資額全額を控除 |
株式取得時点:控除上限額 | 上限なし 申告分離課税のうち、所得税の15%が優遇措置対象 (住民税の5%は対象外) |
株式売却時点:優遇措置の内容 | 課税の繰延 |
株式売却時点:譲渡益の算定 | 取得価額の調整あり |
投資先の企業が10年未満で、長期的な投資リターンを重視するなら、優遇措置Bを選択すると良いでしょう。
プレシード・シード特例は、2023年の税制改正によって新設された優遇措置です。
設立5年未満かつ、営業損益0未満等の要件を満たした企業に投資すると利用できます。
対象の投資先 | 設立5年未満の企業 |
---|---|
株式取得時点:控除対象 | 他社株式売却による収益から、投資額全額を控除 |
株式取得時点:控除上限額 | 上限なし 申告分離課税のうち、所得税の15%が優遇措置対象 (住民税の5%は対象外) |
株式売却時点:優遇措置の内容 | 非課税 |
株式売却時点:譲渡益の算定 | 取得価額の調整なし 投資額20億円まで |
優遇措置Bとほとんど同じですが、売却すると20億円まで非課税枠がある点で異なります。
特に初期段階のスタートアップへ投資する場合は、プレシード・シード特例を選択すると良いでしょう。
売却の際に譲渡益が発生したケースについて、優遇措置別で解説します。
節税効果がどの程度となるのか、参考にしてみてください。
優遇措置Aでは、投資金額から2,000円引いた額を、すでに出資した年に差し引いています。
売却時は譲渡益全体が課税の対象となり、投資時に控除されていない2,000円も課税の対象になります。
たとえば、総所得額が800万円で企業への投資額は500万円の場合、控除できる金額は319.8万円です。
「投資額」「総所得金額×40%」「上限額800万円」のうち、最も金額が少ないのが「総所得金額×40%」である320万円です。
最も少ない金額から、2,000円を引けば、控除できる金額を算出できます。
所得税の計算式は、以下のとおりです。
エンジェル税制を使わなかった時は、120.4万円のため、差額は671,100円です。
優遇措置Bでは、対象企業への投資額を、すでに出資した年に全額差し引いています。
投資額を控除した後の譲渡益の一定割合が非課税となるため、税負担が軽減される仕組みです。
たとえば総所得額が1,200万円で企業への投資額は300万円、他の株式譲渡益が350万円である場合、控除額は300万円となります。
所得税の計算式は、以下のとおりです。
エンジェル税制を使わなかった時は、 242.4万円のため、差額は99万円です。
優遇措置AとBで、どちらが得するかは個人投資家の所得額・投資額で異なります。
プレシード・シード特例では、売却する際に投資額のうち20億円まで非課税です。
20億円を超える投資金額分に関しては、課税の対象となりますのでご注意ください。
以前は優遇措置Bを利用する際、投資時に控除されても売却時に課税されてしまい、投資家にとっては良い条件といえませんでした。
プレシード・シード特例が新設されたことで、売却時も非課税となった結果、優遇措置Bの課題を解決できました。
投資先企業が倒産や解散などによって、譲渡損失が発生した場合は他の株式譲渡益と通算(相殺)できます。
また、その年に通算(相殺)しきれなかった損失は、翌年以降3年間は株式譲渡益と損益通算も可能です。
なお、未上場株式同士であれば、エンジェル税制以外でも相殺可能です。
未上場株式×上場株式で相殺するケースは、エンジェル税制による優遇措置でしか適用できません。
たとえば、対象企業の投資額100万円が完全損失となった時、譲渡益がある場合とない場合は以下のとおりです。
もしも優遇措置Aを使用していた場合、控除対象金額(投資額-2,000円)を取得価額から差し引いて売却損失を計算します。
エンジェル税制のメリットを受けるには、専門家に相談し、正確な情報や手続きについて確認しましょう。
エンジェル税制は、個人投資家にとってリスクを抑えながら投資でき、節税効果のメリットがある制度です。
エンジェル税制適用企業にとっても、自社に投資してもらうことによって、資金を調達できたり企業価値が向上する結果も得られたりします。
優遇措置によって節税効果が異なるため、詳細は専門家に相談するのがおすすめです。
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最終更新日: 2025/1/13
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齋藤 康輔シェアモル株式会社 代表取締役
東京大学教養学部基礎科学科在学中に、半導体(シリコン)のシミュレーションを専攻する傍ら、人材会社にてインターン。
インターン中に人材会社向け業務システムを開発し、 大学卒業後の1年間、上記人材会社にて勤務後、 共同出資で2007年3月に上記システム「マッチングッド」を販売する会社、 マッチングッド株式会社を設立。
12年の経営の後、2019年1月に東証プライム上場企業の株式会社じげんに株式譲渡。
2019年9月、売却資金を元手に、シェアモル株式会社を設立。
自身のM&Aの経験から、買い主と売り主の間での情報の非対称性や、 M&A仲介会社が出している付加価値に疑問を感じ、 自身が思わず依頼したくなるような、 付加価値の高いM&A仲介サービスを提供したいと強く思い、 IT技術をフル活用したM&A仲介事業「シェアモルM&A」をスタート。
現在はシェアモルM&Aと、SEOに強い文章をAIが作成する「トランスコープ」を展開中。