最終更新日: 2025/3/25
「経営者保証ガイドラインについて詳しく知りたい」
「経営者保証を外して負担を軽減したい」
このようにお考えではありませんか?
「経営者保証ガイドライン」という言葉を聞いたことはあるものの、具体的な内容や活用方法が分からない方も多いでしょう。
中小企業が資金を調達する際、金融機関から経営者による個人保証を求められるケースも少なくありません。しかし、個人保証があることで、大胆な決断ができなくなり経営の自由度が制限されたり事業承継がスムーズに進まなかったりといった問題も生じます。
上記のような課題を緩和するために策定されたのが、経営者保証ガイドラインです。
本記事では、経営者保証ガイドラインの概要や活用方法、メリットについて詳しく解説します。個人保証の負担を減らし、円滑な事業運営や承継をするための参考にしてください。
なお、経営者保証を外す手段の一つとしては、M&Aの活用も有効です。M&Aに関しては、専門家のアドバイスを受けながら進めることをおすすめします。
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経営者保証ガイドラインを説明する前に、まずは、経営者保証とは何か?基本概念と問題点について解説します。
経営者保証とは、企業が銀行などの金融機関から融資を受ける際に、経営者個人が連帯保証人となる制度です。
本来、株式会社などの出資者や経営者は、出資額を限度として責任を負う「有限責任」であり、会社が倒産しても事業のために借りたお金を返済する義務は発生しません。
しかし、経営者保証を付けて融資を受けた場合、万が一経営に行き詰まり返済が滞ると、社長個人が会社に代わって返済することになります。
経営者保証があると、経営者が個人保証を提供することで貸し倒れのリスクを抑えられるため、金融機関側が会社に対してお金を貸しやすくなる点がメリットです。
一方で、経営者からみると、事業が失敗した際には会社だけでなく個人の財産を失うリスクを背負うことになります。
経営者保証の問題点としては、以下の3点が挙げられます。
経営者保証があることで、事業拡大のチャンスがあっても「万が一失敗したら資産を失うかもしれない」と考え、思い切った決断ができないという経営者も少なくありません。結果として、企業の成長につながる挑戦ができなくなる恐れがあります。
同様に、経営が厳しくなった場合にも「破産は避けたい」という思いから、必要な撤退やリストラの決断が遅れてしまう可能性があります。早期の事業再生が妨げられ、事業の立て直しが困難になるケースもあるでしょう。
また、後継者が経営を引き継ぐ際に個人保証を求められる場合も多くあります。後継者としても、個人で会社の債務を背負うのはリスクが大きく、保証の負担を理由に承継を断念するケースも見られます。
経営者保証ガイドラインは、経営者保証に関する課題を軽減するために、全国銀行協会および日本商工会議所が策定した自主的なルールです。
2013年12月に策定され、2014年2月から運用が始まりました。
ガイドラインでは、中小企業が融資を受ける際の適切な保証契約のルールを定めています。また、万が一返済が難しくなった場合の保証債務の整理方法や、経営者の責任の範囲、残せる財産についての基準も示しています。
経営者保証ガイドラインに、法的な拘束力はありません。しかし、金融機関や企業が自主的に遵守することが望まれています。
なお、ガイドラインでは経営者保証の解除や代替えの方法への移行を推奨していますが、最終的に経営者保証を外すかどうかは金融機関の判断になります。
そのため、ガイドラインに沿って適切な対応を行いながら、金融機関と協議を進めることが大切です。
経営者保証ガイドラインの主な内容は、以下の3つです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ガイドラインでは、以下3つの要件を満たす場合、金融機関は経営者保証なしの融資や代替手法の活用を検討するとしています。
経営者保証なしで融資を受けるには、会社と経営者の財産をきちんと分け、社会通念上不適切な資金の移動がないことを示す必要があります。
また、自己資本比率を高めたり内部留保を増やしたりし、企業の資金で十分に返済していけるように財政基盤を強化することも大切です。
さらに、正確な決算書を定期的に提出した上で必要に応じて試算表や資金繰り表も開示することで、経営の透明性を高められます。
適切な会計処理を行い外部監査を取り入れることで、金融機関からの信頼を得やすくなり、保証解除の可能性が高まります。
すでに保証契約を結んでいる場合でも、前述の「資産分離」「財務基盤強化」「経営の透明性確保」という3つの条件を満たせば、保証契約の見直しや解除が可能な場合があります。
経営者保証ガイドラインを活用すると、万が一会社が破綻して保証債務の整理が必要になった場合でも、以下のような対応が可能になる場合があります。
通常、債務整理を行う際には、破産や民事再生などの法的手続きが必要になります。法的手続きを行うと、債務整理が完了するまでに多くの時間と弁護士などの費用が必要です。
一方で、経営者保証ガイドラインを使えば「私的整理」として債務を整理できることがあります。私的整理であれば、手続きの時間や費用を抑えながら、柔軟に対応できます。
経営者保証ガイドラインを活用することで、企業の経営が破綻した際でも自由財産の99万円に加え、年齢に応じて約100万〜360万円の生活費を確保できる場合があります。
また、住居が過度に豪華でない場合は、自宅を手元に残せる可能性もあります。
事業が失敗した際も、一定の生活費や自宅が手元に残ることで、比較的スムーズに生活を立て直すことができるでしょう。
通常、借金を返済できなければ信用情報機関に記録が残り、新たな借入が難しくなります。経営者保証により会社の債務を負った場合にも、返済できない場合は債務整理を行い、信用情報機関に記録が残ります。
しかし、経営者保証ガイドラインに基づいて債務整理を行った場合は、信用情報機関に記録されません。そのため、再度資金調達を行い、新たな事業に挑戦しやすくなるといったメリットがあります。
ここでは、事業承継のシーンで経営者保証がどう影響するのか、次の2点から説明します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
経営者保証は、事業承継の際にも影響します。具体的には、経営者保証が存在することで、以下のような問題を引き起こす可能性があります。
▪️後継者への問題
事業承継の際、事業を引き継ぐ後継者にも、個人保証が求められるケースは多く見られます。
しかし、将来的に経営が悪化した場合には個人の資産を失うリスクがあるため、個人保証に抵抗を感じる後継者は少なくありません。
結果として、保証を理由になかなか後継者が決まらず事業承継が進まないケースや、後継者候補が承継を断るケースが見られます。
▪️企業への問題
企業としても、経営者保証により事業承継が進まないことはマイナスとなります。
近年、経営者の高齢化によって事業の継続が難しい中小企業は増加していますが、後継者候補が個人保証を敬遠して承継が進まないケースが見られます。
後継者が見つからなければ、最終的には廃業せざるを得ないケースもあり、企業の廃業は地域社会にも悪影響を与える恐れがあるでしょう。
2019年12月、日本商工会議所および全国銀行協会は、事業承継時の経営者保証の取り扱いを明確化するために、経営者保証ガイドラインの特則を策定しました。
特則では、事業承継時に先代経営者と後継者の双方に保証を求める「二重徴求」を原則として行わないことが定められています。
さらに、事業承継を妨げないよう、後継者の保証契約については金融機関が慎重に判断するよう求められています。
経営者保証ガイドラインを活用することで、中小企業や経営者、金融機関のそれぞれにメリットがあります。
▪️中小企業のメリット
中小企業としては、経営者保証が外れることで経営者個人のリスクが減り、積極的な事業展開や早めの事業再生が可能になります。結果、企業の成長と競争力の強化が期待できます。
▪️経営者のメリット
経営者にとっては、ガイドラインにより保証の負担が軽くなり、事業承継や新規事業への挑戦がしやすくなります。万が一失敗しても、個人破産せずにある程度の生活資金や自宅を残せる可能性があり、生活や事業を立て直すチャンスが広がります。
▪️金融機関のメリット
金融機関は経営者保証に依らない融資を進めることで、企業の早期再生や円滑な事業承継を支援し、結果として貸倒リスクを減らすことが可能です。
経営者保証ガイドラインの活用や保証債務の整理については、以下の機関に相談が可能です。
早期に適切な相談先を利用することで、事業承継や廃業、事業再生など、さまざまな選択肢の検討が可能になります。
今回は、経営者保証ガイドラインの概要や活用方法、メリットについて解説しました。
経営者保証ガイドラインは、経営者保証に伴う問題を緩和するために策定されたルールです。
ガイドラインを上手に活用することで経営者の個人負担を軽減し、企業の成長や再生、スムーズな事業承継が実現可能になります。
なお、経営者保証を外す手段のひとつとしては、M&Aの活用も有効です。
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また、シェアモルM&AのコラムにはM&A・事業承継関連の記事も掲載しておりますので、あわせてご覧ください。
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最終更新日: 2025/3/25
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齋藤 康輔シェアモル株式会社 代表取締役
東京大学教養学部基礎科学科在学中に、半導体(シリコン)のシミュレーションを専攻する傍ら、人材会社にてインターン。
インターン中に人材会社向け業務システムを開発し、 大学卒業後の1年間、上記人材会社にて勤務後、 共同出資で2007年3月に上記システム「マッチングッド」を販売する会社、 マッチングッド株式会社を設立。
12年の経営の後、2019年1月に東証プライム上場企業の株式会社じげんに株式譲渡。
2019年9月、売却資金を元手に、シェアモル株式会社を設立。
自身のM&Aの経験から、買い主と売り主の間での情報の非対称性や、 M&A仲介会社が出している付加価値に疑問を感じ、 自身が思わず依頼したくなるような、 付加価値の高いM&A仲介サービスを提供したいと強く思い、 IT技術をフル活用したM&A仲介事業「シェアモルM&A」をスタート。
現在はシェアモルM&Aと、SEOに強い文章をAIが作成する「トランスコープ」を展開中。