M&Aノウハウ
最終更新日: 2025/4/8
「法人の節税について知りたい」
「少しでも税負担を抑えて、手元の資金を増やしたい」
このようにお考えではありませんか?
本記事では、できるだけ税負担を抑えて事業に使えるお金を増やしたいというオーナー社長様に向けて、法人税の基本的な仕組みや節税に効果的なテクニックを厳選し、わかりやすく紹介します。
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法人税とは、「法人が事業活動によって得た所得」に対して課される税金のことです。
法人税は国に納める「国税」ですが、一般的に、地方自治体に納める法人住民税や法人事業税などとまとめて「法人税等」と呼ばれます。
法人税は、定款で定めた事業年度ごとに計算し、事業年度終了日の翌日から2か月以内に税務署へ申告・納付しなければなりません。
納める税額は、所得金額に所定の税率をかけ、税額控除額を差し引いて算出されます。
法人税が課せられる「所得」とは、「益金」から「損金」を引いた金額を指します。
ここでいう「損金」とは法人にとっての「経費」にあたるものであり、損金が増えるほど課税される所得が少なくなり、その分法人税の負担も軽減可能です。
なお、損金は税法上の考え方であり会計で用いられる「費用」とは必ずしも一致せず、会計上は費用となるものの税法上は損金には含まれない場合があります。
例えば、一定額を超える寄付金や交通違反の反則金、延滞税などは損金に含まれません。
そのため、損金として認められる範囲を把握しておくことが、法人税を正しく計算するために重要です。
法人の節税は、適切な方法で課税所得を減らし、納税額を抑えることが目的です。
そして、納税額を引き下げるための基本的な考え方には、以下の2つがあります。
それぞれ見ていきましょう。
1つ目は、損金を増やすことです。
法人税は、「益金」から「損金」を引いた「課税所得」をベースに計算されるため、損金を増やして課税所得を圧縮することで、節税効果が期待できます。
損金には、仕入費用や家賃・広告費・福利厚生費・旅費・消耗品費・保険料などが該当します。
2つ目は、特別償却と特別控除を活用する方法です。
特別償却や特別控除とは、一定の設備投資などを行った際に通常よりも多くの金額を経費として計上できたり、支払う税金を減らせたりする制度で、中小企業向けの投資促進税制などが該当します。
法人の節税対策は、性質によって「繰延型」と「永久型」に分けられます。
「繰延型」の節税対策とは、税金を支払うタイミングを将来に先送りすることによって、税負担のピークをずらす方法です。
例えば、損失を翌年以降に繰り越すことで将来の利益と相殺して、現在の税負担を減らします。なお、一時的な圧縮であり、トータルで支払う税金は変わりません。
一方、「永久型」の節税対策とは課税が将来にも発生しない、つまり恒久的に税負担を減らす節税のことを指します。
非課税の所得を得る、税額控除を活用するなどにより、法人税の負担を軽減し続けることが可能です。
節税対策を考える際は、利用する方法がどちらの型に当てはまるのかを理解したうえで活用することが大切です。
ここからは、法人の節税に効果的なテクニック17選を紹介します。
それぞれ説明します。
役員報酬は「毎月同じ金額で支払う」「ボーナスを出すときはあらかじめ金額を税務署に届け出る」といった一定の条件を満たせば、損金として計上が可能です。
例えば、会社に利益がたくさん出そうな年は、役員報酬を多めに設定することで課税所得を抑えられます。
ただし、役員報酬を増やすことで役員が負担する所得税が高額になり、トータルの納税額が増えてしまう可能性があります。
そのため、役員報酬の金額は、税理士などの専門家と相談した上で、適正な金額に設定することが大切です。
決算賞与とは「決算月の直前に出すボーナス」のことです。
賞与は人件費として損金になるため、利益から差し引けます。そこで、期末の利益が多く出そうな場合に、社員にボーナスとして還元することで法人の利益の圧縮が可能です。
ただし、損金として計上するためには、以下の条件を満たす必要があります。
決算賞与は社員のモチベーションアップにもつながり、福利厚生としても有効な手段です。
社宅制度を活用すると、会社が支払う家賃と入居者が支払う家賃負担額の差額分を、損金として計上できます。
ただし、社宅として認められるためには会社名義で物件を借りた上で、入居する役員や従業員から一定の賃料を受け取る必要があります。
また、家賃の金額が適正であることも重要です。入居者から徴収する賃料が税務上の「最低限必要とされる額」を下回っている場合、差額が給与として課税されてしまうため注意しましょう。
出張旅費日当とは、出張に行った役員・社員に、交通費や宿泊費とは別に支給する手当のことです。
例えば、「1日あたり3,000円の日当を支給」といった形で、食事代や雑費などの実費精算が難しい部分をカバーする手当です。支給した日当は「旅費交通費」として損金に計上できます。
ただし、旅費日当を損金に算入するためには「役員・社員の旅費規程」を設け、規程にもとづいて適正に日当を支払う必要があります。
健康診断・社員旅行などの福利厚生制度にかかる費用は、「福利厚生費」として損金算入が可能です。
ただし、福利厚生として認められるためには「全従業員が対象であること」「業務との関連性や合理性があること」といった条件を満たす必要があります。
例えば、社員旅行であれば「会社負担金額は1人あたり10万円以下」「4泊5日以内」「従業員の50%以上が旅行に参加」といった制限があります。
健康診断も同様に、「従業員全員が対象であること」や「かかった費用を会社が医療機関に直接支払うこと」など必要な条件があるため、よく確認して取り入れましょう。
法人が加入する生命保険・医療保険・がん保険などは、一定のルールを満たすと保険料の全部または一部を損金として計上可能です。
法人保険は死亡・病気など万一のときの保証が得られる他、退職金を積み立てる、資産として蓄積できるといったメリットがあります。
ただし、2019年に法人保険の損金ルールが厳格化され、保険料の損金算入が厳しく制限されました。保険料を損金に計上するための要件が新たに公布されているので、加入する際は要件を満たしているかよく確認しましょう。
中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)は、取引先の倒産などで連鎖倒産するのを防ぐために、中小企業基盤整備機構が運営する国の共済制度です。
経営セーフティ共済の毎月の掛金は、全額損金として計上できます。
掛け金は月額5,000円〜20万円の範囲で選択可能であり、年間最大240万円の費用を計上でき、利益圧縮に活用可能です。
ただし、解約返戻金は将来的に益金として扱われ一括で課税されるため、「繰延型の節税」である点を理解しておきましょう。
通常、10万円以上の備品は「固定資産」として、複数年にわたって減価償却する必要があります。しかし、青色申告をしている中小企業であれば、1つあたり30万円未満の資産であれば特例として一括で損金として計上が可能です。
ただし、「資本金1億円以下の中小企業」「年間300万円まで」といった条件があるため、よく確認して活用しましょう。
未払費用・買掛金といった「まだ支払っていないけれど、すでに発生している費用や仕入れ」を正しく計上することで利益を正確に圧縮し、法人税を減らすことが可能です。
なお、未払金とは、給与・社会保険料・光熱費・顧問料・地代家賃など「発生しているが未払いのもの」を指します。買掛金は、商品や資材の仕入れなどで「請求書は来たけれど、支払いが翌期のもの」のことです。
例えばコピー機をリース契約している会社では、決算期に未払いのリース料を「未払費用」として計上することで、今期の利益を圧縮して効果的な節税につながることがあります。
通常、前払いした費用は「翌期の費用」として計上され、当期の経費にはできません。しかし、「短期前払費用の特例」を使えば、一定の条件を満たす支出は当期の損金として一括で計上が可能です。
対象となるのはオフィス・店舗などの賃料や損害保険料、税理士・社労士などへの年間顧問契約料、コピー機や業務用機器のリース契約料などです。
ただし、特例を適用するには以下のような条件を満たす必要があります。
例えば、2年契約の保険を一括支払いした場合は対象外となるため留意しましょう。
業務に使用する車を法人名義で購入またはリースすると、購入費・維持費を損金として計上可能です。
損金計上できる主な費用には、車両購入費やリース料の他、ガソリン代・駐車場代・高速代・車検・保険・整備費などが含まれます。
ただし、社用車をプライベートでも使用する場合は社用車の使用に関する規程を整備し、一定額の利用料金を会社へ支払うといった取り決めをあらかじめ設けておく必要があります。
使っていない在庫や、古くなったパソコン・機器・備品などの固定資産であっても、保管している限りは資産として帳簿に載せる必要があります。
上記のような不要な資産を処分することで、帳簿に残っている価値を損金として計上でき、法人税の負担軽減が可能です。
さらに、不良在庫を整理することで在庫管理の手間やコストが削減される、財務状況が健全に見えるため金融機関の融資審査でも良い印象をあたえやすくなる、といったメリットもあります。
売掛金などの債権には、将来、回収できなくなるリスクが伴います。回収できなくなるリスクに備えて、あらかじめ一定額を損失見込みとして費用計上する仕組みが「貸倒引当金」です。
貸倒引当金は損金として処理できるため、計上することで節税効果を期待できます。
注意点として、適切に節税効果を得るためには税務上のルールに則って計算し、根拠となる明細書などの資料を整備・保存しておく必要があります。
事業用の機械や重機、車両などの設備に投資すると「固定資産」として計上され、減価償却することで毎年の利益を圧縮し、法人税の節税効果が期待できます。
さらに、中小企業が設備を導入した場合、一定の条件を満たせば「即時償却」や「特別償却」という特例の活用も可能です。特例を使うと、生産性向上や省エネに資する大型の設備投資など、本来は数年かけて償却する資産を初年度に一括で償却できます。
雇用促進税制は、社員を増やした企業が法人税の控除を受けられる制度です。一定数以上の正社員を増やすことで、1人雇うごとに最大40万円の税額控除が受けられます。
ただし、事前にハローワークへの届出が必須で、計画の提出がないと適用されません。また、社会保険未加入の人はカウントされないため、雇用保険加入が要件となります。
エンジェル税制は、スタートアップ企業に出資した個人投資家が、所得税や譲渡所得税の優遇を受けられる制度です。
直接、法人の税負担を軽減するものではありませんが、自社がエンジェル税制の対象企業となることで投資家からの出資を受けやすくなります。結果として、資金調達の幅が広がり、借入に頼らず成長資金を確保することが可能になります。
さらに、調達資金を経費として活用すれば法人税の節税につながる場合もあるため、成長期の企業にとっては有効な手段のひとつです。
エンジェル税制について詳しくは、エンジェル税制で譲渡対価を節税する方法を分かりやすく解説も合わせてご参考ください。
繰越控除とは、会社に赤字が出た場合、赤字を翌年以降の黒字と相殺して法人税を減らせる制度です。法人の場合、青色申告をしていれば最大10年まで赤字を繰り越せます。
また、一定の要件を満たせば「欠損金の繰り戻しによる還付」の利用も可能です。
欠損金の繰り戻しによる還付とは、ある年度に黒字となった後、翌年度に赤字が発生した際に、発生した赤字を前年度の所得と相殺することで納付済みの法人税の一部を取り戻せる仕組みです。
なお、繰越控除を受けるには、毎年の確定申告で正しく申請する必要があります。
法人経営において節税対策は重要ですが、やり方を誤ると資金繰りの悪化や信用低下、税務上のペナルティを招くリスクがあります。
そのため、法人の節税対策においては以下の5つの点に注意しましょう。
それぞれ見ていきましょう。
節税のために高額な設備を購入したり保険に加入したりすると、現金は先に出て行くため、資金が足りなくなる恐れがあります。
節税は「お金を残す手段」であるにもかかわらず、資金不足を招いては本末転倒です。過度な節税で資金繰りを圧迫しないためには、節税額よりも手元に残る現金を重視することが大切です。
まずはキャッシュフローを把握した上で、無理な前払い・投資は避け、余裕ある範囲での節税を心がけるようにしましょう。
「節税のために」と利益を極端に圧縮すると、金融機関から「業績の悪い会社」とみなされて、融資審査で不利になる恐れがあります。
今後、融資の予定がある場合は節税のやりすぎに注意し、自己資本や利益も意識しましょう。必要に応じて、税理士といった専門家と融資対策の相談をしながら進めると安心です。
無理な節税やグレーな処理をすると税務調査で否認されて、追徴課税や加算税・延滞税といったペナルティを受けるリスクがあります。
領収書・契約書・議事録などの証拠書類はしっかり保存し、税理士など専門家の助言を受けながら、無理のない適正な処理を心がけることが大切です。
節税はあくまで「会社の利益を守り、将来の成長につなげる手段」です。ところが、節税に意識が向きすぎると、不要な支出や無駄な投資をしてしまうことがあります。
ただ税金を減らすだけでなく、常に「この支出は本業にプラスになるか?」を確認し、経営戦略の一部として計画的に進めましょう。
節税の効果を確実に得るためには、税法や会計のルールに従い、正確に処理することが不可欠です。
例えば「未払費用の計上」や「短期前払費用の特例」などは、ルール通りに処理しないと損金として計上できず、節税にならないケースがあります。
また、税法に違反するような節税対策は、追徴課税など大きなペナルティにつながる可能性があります。不安な場合は専門家の支援を受け、ルールに則って節税を進めていくことが大切です。
今回は、法人税の基本的な仕組みを解説するとともに、節税に効果的なテクニックを厳選してわかりやすく紹介しました。
適切な方法で課税所得を減らしていけば、効果的に法人税を節税できます。ただし、節税は「お金を残すための手段」であることを忘れず、本業の成長とバランスを取りながら無理のない範囲で実践することが大切です。
紹介したテクニックを参考に、賢く制度を活用していきましょう。
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また、シェアモルM&AのコラムにはM&A・事業承継関連の記事も掲載しておりますので、あわせてご覧ください。
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最終更新日: 2025/4/8
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齋藤 康輔シェアモル株式会社 代表取締役
東京大学教養学部基礎科学科在学中に、半導体(シリコン)のシミュレーションを専攻する傍ら、人材会社にてインターン。
インターン中に人材会社向け業務システムを開発し、 大学卒業後の1年間、上記人材会社にて勤務後、 共同出資で2007年3月に上記システム「マッチングッド」を販売する会社、 マッチングッド株式会社を設立。
12年の経営の後、2019年1月に東証プライム上場企業の株式会社じげんに株式譲渡。
2019年9月、売却資金を元手に、シェアモル株式会社を設立。
自身のM&Aの経験から、買い主と売り主の間での情報の非対称性や、 M&A仲介会社が出している付加価値に疑問を感じ、 自身が思わず依頼したくなるような、 付加価値の高いM&A仲介サービスを提供したいと強く思い、 IT技術をフル活用したM&A仲介事業「シェアモルM&A」をスタート。
現在はシェアモルM&Aと、SEOに強い文章をAIが作成する「トランスコープ」を展開中。