M&Aノウハウ
最終更新日: 2025/4/18
「資金繰りについて知りたい」
「運転資金が不安で、少しでもキャッシュを確保したい」
このようにお考えではありませんか?
本記事では、資金繰りの基本的な考え方から悪化する原因、そして改善・資金調達の具体的な方法までわかりやすく解説します。
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資金繰りとは、企業が日々の支払いや支出に対応できるよう、資金の流れを管理・調整する業務のことです。
ここでいう「資金」は現金や預金といったすぐに使えるお金を指し、すぐ支払いに使えない売掛金や貸付金、不動産などは「資産」ではありますが「資金」とは見なされません。
なお、利益が発生していても実際に入金されるのは先になることもあり、利益と手元の現金は一致しないため、たとえ利益が出ていても資金が不足するケースもあります。
そのため「手元に使えるお金がいくらあるのか」「いつ、どれくらいの支払いや入金があるのか」といったお金の流れを把握し、調整することで「収益が出ているにもかかわらず、手元にお金がない」という状況に陥るのを防ぐことが可能です。
また、資金繰りとよく似た言葉に「キャッシュフロー」がありますが、資金繰りは将来的なお金の動きにフォーカスしているのに対し、「キャッシュフロー」は過去のお金の動きを管理するものである点が異なります。
資金繰りは会社の存続に大きく関わるため、正しく理解して実施する必要があります。
資金繰りは、主に以下の4つの理由で企業にとって重要です。
それぞれ説明します。
企業の経営を持続的に発展させていくために、資金繰りの安定は重要です。
日々のお金の出入りを適切に管理し、必要なタイミングで必要な資金を確保できる体制を整えることで急な支払いへに対応できるようになり、資金ショートのリスクも軽減できます。
資金繰りが安定すると財務も安定し、短期的な資金確保に追われることなく、長期的な視点での経営判断が可能になります。
将来を見据えた事業立案や投資判断にも余裕が生まれ、企業の成長をさらに加速させられるでしょう。
経営活動においては、売り上げや費用が発生するタイミングと、実際に現金が動くタイミングがズレることもよくあります。
たとえ帳簿上では利益があったとしても、売掛金の回収に時間がかかったり大きな支払いが重なったりすると、手元の資金が不足して資金繰りが悪化することもあるでしょう。
黒字であっても現金が足りず取引先や従業員への給与が滞ると、「黒字倒産」と呼ばれる状況に陥ることもあります。
黒字倒産にならないよう日ごろから資金の流れをきちんと把握し、調整しておくことが大切です。
資金繰りの管理は、金融機関との交渉においても重要です。
金融は融資の際、決算書などの財務諸表と同じくらい、資金繰りの状況を重要視しています。
中でも「資金繰り表」は、企業の資金管理能力や将来の返済能力を測る根拠として、融資審査時に活用される重要な資料です。
資金繰りをきちんと可視化し、管理しておくことは、金融機関との関係構築や安定した資金調達の基盤となります。
資金繰りを適切に管理することは、企業の信用力を高める上でも効果的です。
資金の流れが安定して支払い遅延がない状態を保てれば、取引先から「信頼できる企業」として認識され、仕入れ条件や取引条件の交渉もしやすくなります。
また、安定した財務状況は採用活動や人材の定着にも良い影響を与えるでしょう。
資金繰りが悪化する原因としては、以下の8つが挙げられます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
資金繰りが悪くなる原因の一つは、売掛金の回収遅延と入出金のタイムラグです。
商品やサービスを販売しても、代金をすぐに現金で受け取れるとは限りません。売掛金として処理される場合、実際に入金されるまで一定の期間が必要です。
一方で、仕入れ代金の支払いや借入の返済、経費の支払いなどは売り上げが立つ前にも発生するため、手元金が不足しやすい構造となっています。
理想的なのは「入金は早く・支払いは遅く」というバランスですが、実現するためには日々の入出金スケジュールを正確に把握し、管理することが不可欠です。
売り上げが落ち込むと資金の流入が鈍り、赤字が続くことで手元の資金は急速に減っていきます。
たとえ、売り上げと仕入れが同時に減ったとしても、人件費や賃料、利息といった固定費は変わらず発生するため、資金繰りには大きな負担となるでしょう。
一方で「売り上げが伸びれば資金繰りも良くなる」と思われがちですが、急な売上増加時には一時的に資金が不足し、経営に悪影響を及ぼすこともあります。
売り上げの増加に伴って仕入れや設備投資といった支出が発生し、入金より支出が先行するケースが多いためです。
売上の変動には資金繰りリスクが潜んでいるため、変化に応じてしっかりと資金を管理することが求められます。
赤字経営とは、収益よりも費用が多く、事業活動の利益が出ていない状態を指します。
一時的な赤字であれば、持ち堪えることも可能です。しかし、家賃や人件費といった固定費は変わらず発生するため赤字が続けば資金繰りは徐々に悪化し、仕入れや運営費の支払いに支障をきたすようになります。
過剰な在庫の保有や設備投資は、資金繰りに影響します。
例えば、仕入れた商品が予定通りに売れず長期間倉庫に滞留すると、保管・管理コストや不良在庫による損失が重なり、資金が流出してしまいます。
また、設備投資は回収までに時間がかかるため、過剰に設備投資すると短期的な資金不足に陥るリスクが高まるでしょう。
事業拡大のための投資であっても、資金繰りへの影響を見越し、計画的に実行する必要があります。
売り上げや利益には敏感でも、手元金の状況を正確に把握していない経営者は少なくありません。
現金の流れを軽視すると計画性のない支出が続き、支払日に資金が足りないといった事態に陥る可能性があります。
また、短期的な数字ばかり追いかけていても中長期的な資金の見通しが立てられず、資金繰りの悪化を招いてしまいます。
資金繰りを安定させるには、経営者自身が資金繰りの重要性を理解し、現金ベースで経営を捉える姿勢が欠かせません。
たとえ赤字経営であっても、金融機関から融資を受けることができれば、手元資金を確保して当面の資金繰りを安定させることが可能です。
しかし、赤字が長期化して財務状況が悪くなると、融資に通らないリスクが高まります。
銀行からの融資が受けられなくなると、資金繰りの悪化は一気に進み、最悪の場合は倒産の恐れも出てきます。
資金繰りの悪化には、社内の管理体制の不備も大きく関係しています。
資金の流れを把握できる仕組みが整っていないと、無駄な出費が見逃されたり、資金の横領や不正使用といった問題が生じたりします。
また、経理部門と経営層で情報共有がされていないと経営判断に必要な資金状況が把握できず、資金繰り悪化のリスクが高まるでしょう。
資金繰りを安定させるには、資金繰り計画の立案や定期的なモニタリング、リスク管理体制の整備が重要です。
金利・為替など外部環境の変動も、資金繰りに影響を与える要因のひとつです。
例えば銀行から借り入れを行っている場合、金利が上がると支払いの負担が増加し、資金繰りにも悪影響を及ぼします。
また、海外と取引をしている場合には為替レートの変動が収益や仕入原価に影響し、予想外の資金不足に陥る可能性があります。
ここからは、資金繰りが悪化した場合の改善方法を紹介します。
それぞれ説明します。
資金繰りを安定させるには、日々に売上をしっかりと確保し、利益を出し続ける仕組みづくりが欠かせません。
売上がある程度見込める状態を維持できれば、入金の流れも一定になり、突然の資金不足に陥るリスクを抑えられます。
売掛金(未収入金)と買掛金(未払金)は資金の出入りに大きく影響するため、日々の管理が非常に重要です。
売掛金は、回収までに時間がかかると資金繰りが厳しくなってしまうため、できるだけ早めの回収を心がけ、請求・入金の流れをきちんと把握しておくことが大切です。
場合によっては取引条件の見直しや、取引先を見直すことも視野に入れるとよいでしょう。
買掛金については、支払いのタイミングや条件を取引先と相談しながら調整することで、資金に余裕を持たせる工夫も可能です。
在庫は販売しなければ現金化されないため、動きが鈍くなると資金繰りに影響が出てしまいます。
無駄な在庫を抱え込まないように仕入れのタイミングや量を見直し、売れ筋や回転率を意識した在庫管理をしていくことで、余計な支出や資金の滞留を防げるでしょう。
また、設備投資を検討する際は「今、この設備は本当に必要か?」という視点で、費用に見合った効果が見込めるかどうかをしっかり判断することが大切です。
事業規模に見合った投資を行うことで、資金繰りを悪化させるリスクを回避できます。
日々の業務で支出している費用の中に無駄な経費がないかを見直すことは、資金繰りを安定させることに繋がります。
例えば、オフィスの賃料・光熱費・通信費・人件費・広告費など、毎月の固定費については一度しっかり棚卸しをして「この支出、本当に今の規模に合っているか?」と見直してみるのがおすすめです。
ただし、安易にコストカットすると従業員のモチベーションを下げてしまい、サービスや品質の低下を招く恐れもあるため、慎重に判断しましょう。
資金繰りを改善するためには、「今、どれくらいお金が動いているのか?」をきちんと把握することが大切です。把握に役立つのが、資金の出入りを整理して見える化できる「資金繰り表」です。
資金繰り表を作ると、一定期間の収入と支出が一覧で把握でき、資金の流れや偏りがひと目で分かるようになります。
さらに、過去の実績に加えて「この先、いつ・どれくらい支払いがあるか」「どのタイミングで入金されるか」といった将来の予定も一緒に書き出しておくことで、「この時期は資金が足りなさそうだな」と事前に気づけるようになります。
結果、事前に銀行融資を検討したり、支払いスケジュールを調整したりと、具体的な対策を立てやすくなるでしょう。
資金繰りが一時的に厳しい状況であれば、税金や社会保険料の支払いを少し先延ばしにできる「納付猶予制度」の利用を検討してみるのも一つの方法です。
税金・社会保険料の納付猶予制度とは、税務署や年金事務所に申請することで、一定期間の納付を猶予してもらえる制度のことです。
納付猶予を受けることでキャッシュアウトを一時的に抑え、資金に余裕が生まれている間に収入を確保し、資金繰りの立て直しに繋げられます。
ただし、あくまで「猶予」なので、返済スケジュールをしっかり立てた上で期限を守ることが前提です。
期限を過ぎてしまうと、延滞金などのペナルティが発生する可能性もあるので、利用する際は慎重に判断しましょう。
また、税負担を抑えて手元の資金を増やしたい方は、オーナー社長様必見!法人の節税に効果的なテクニック17選のコラムもぜひご参照ください。
資金繰りを改善し、安定化させるためには、予算管理の徹底が欠かせません。
売上や利益、経費など、会社全体のお金の動きを把握しておくことで、「このタイミングで資金が足りなくなりそうだ」といった予測がしやすくなります。
また、定期的に数値を確認・分析することで、資金繰りに悪影響を及ぼす要因を早期に発見できるでしょう。
資金繰りの改善には、外部からの資金調達も有効です。
例えば、金融機関からの融資を受けることで資金に一時的な余裕が生まれ、事業を立て直すための時間を確保できます。赤字や資金ショートのリスクが見込まれる場合はとくに、早めの相談と対策が重要です。
ただし、借入や出資などの資金調達手段にはそれぞれ返済義務や条件が伴うため、内容をよく確認した上で自社の状況に合った方法を選ぶことが重要です。
ここからは、外部からの資金の調達方法について解説します。自社に適した資金調達の参考にしてください。
それぞれ見ていきましょう。
銀行や信用金庫などからの融資は、もっとも一般的な資金調達の方法のひとつです。
融資を受ける際には、金利・返済期間・返済方法などの条件をよく比較した上で、交渉することが大切です。
とくに中小企業の場合、金融機関によって提示される条件に差が出やすいため、複数の金融機関に相談して自社にとってもっとも良い条件を引き出せるところを見極める必要があります。
資金繰り表や事業計画書などの資料を用意して、資金の使途や返済能力を客観的に説明できるようにしておくと、金融機関からの信頼も得やすくなります。
ファクタリングとは、企業が保有する売掛金(未回収の請求書)をファクタリング会社に買い取ってもらい、早めに現金を手に入れる方法です。
「支払いはすぐに必要だけど、入金はまだ先…」というときでも、ファクタリングを使えばスピーディーに資金を確保できるため、急な出費への対応にも役立ちます。
債権回収のリスクを外部に移転できるメリットがある一方で、利用には手数料がかかるため、「本当に今、手元に資金が必要なのか?」「このコストは許容できるか?」をしっかり見極めたうえで活用するとよいでしょう。
クラウドファンディングは、インターネット上で不特定多数の人から資金を募る方法です。
商品やサービスのアイデアに共感してくれた人が支援してくれる仕組みなので、企業の業績に関係なく資金を集められるのが特徴です。
赤字や創業間もない企業でも挑戦でき、事業自体のPR効果が期待できるメリットがある一方で、共感を得られなければ資金が集まらず、目標金額に届かない可能性もあります。
国や自治体では、中小企業を支援するための補助金・助成金制度が数多く用意されています。うまく活用できれば、資金繰りの大きな助けになることも少なくありません。
ただし、それぞれの制度には「どんな事業が対象か」「補助率はいくらか」「上限額はいくらまでか」など、細かな条件があります。申請の際は、自社が条件を満たしているかどうか、事前によく確認する必要があります。
また、多くの補助金・助成金は「後払い(精算方式)」が原則なので、申請が通ってもすぐに資金が振り込まれるわけではありません。「いますぐ資金が必要」というケースには向かない場合もある点に注意しましょう。
ベンチャーキャピタルとは、将来的な株式上場やM&Aによるリターンを見込んで、成長途中の企業に出資する投資ファンドや投資会社のことを指します。
ベンチャーキャピタルからの出資は、とくにスケールの大きなビジネスを目指すスタートアップや、新たな事業を立ち上げようとする企業にとって有効な資金調達手段のひとつです。
資金提供だけでなく、経営面でのアドバイスや人材の紹介、販路拡大の支援など、さまざまなサポートを受けられるのも大きな魅力です。
ただし、出資を受けることで自社の株式を一部手放すことになるため、経営権の一部が希薄化する可能性がある点には注意しましょう。
今回は、資金繰りの基本的な考え方から悪化する原因、そして改善・資金調達の具体的な方法まで解説しました。
資金繰りは経営の生命線であり、計画的な管理が企業の安定と成長を左右します。日々の出入金を把握し、リスクに備えた資金計画を立てることが、持続可能な経営につながるでしょう。
資金繰りの改善には、売上やコストの見直しといった内部施策に加え、外部資金の活用や制度の理解など多角的な視点が求められます。
専門家の支援も視野に入れながら、継続的に取り組むことが重要です。
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最終更新日: 2025/4/18
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齋藤 康輔シェアモル株式会社 代表取締役
東京大学教養学部基礎科学科在学中に、半導体(シリコン)のシミュレーションを専攻する傍ら、人材会社にてインターン。
インターン中に人材会社向け業務システムを開発し、 大学卒業後の1年間、上記人材会社にて勤務後、 共同出資で2007年3月に上記システム「マッチングッド」を販売する会社、 マッチングッド株式会社を設立。
12年の経営の後、2019年1月に東証プライム上場企業の株式会社じげんに株式譲渡。
2019年9月、売却資金を元手に、シェアモル株式会社を設立。
自身のM&Aの経験から、買い主と売り主の間での情報の非対称性や、 M&A仲介会社が出している付加価値に疑問を感じ、 自身が思わず依頼したくなるような、 付加価値の高いM&A仲介サービスを提供したいと強く思い、 IT技術をフル活用したM&A仲介事業「シェアモルM&A」をスタート。
現在はシェアモルM&Aと、SEOに強い文章をAIが作成する「トランスコープ」を展開中。