最終更新日: 2025/1/13
「M&A・事業承継後のPMIを成功させたい」
「PMIの手順や事例について知りたい」
M&A・事業承継を成功させるため、PMIについて上記のようなお悩みがあるのではないでしょうか。
結論、M&A・事業承継が成功するかどうかは、PMIプロセスにかかっています。
本記事では、M&A・事業承継のPMIについて知りたい経営者に向けて、手順や事例を紹介します。
また、PMI成功の秘訣も解説するため、ぜひ参考にしてください。
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M&A・事業承継におけるPMIに関する、下記について解説します。
PMIの基本を押さえておきましょう。
PMIとは「ポスト・マージャー・インテグレーション」の略で、M&A・事業承継後に行われる、企業同士を統合させる過程をいいます。
企業文化や運営方針の異なる企業が、一体となるように調整することが目的です。
具体的には、下記に関する統合を行います。
それぞれの企業が実施してきた制度や、やり方が統一されなければ従業員は混乱するでしょう。
混乱を招いた結果、退職者が増えたり組織の雰囲気を悪化させたりする恐れがあります。
計画的なPMIの実施により、M&Aの目的を達成できる可能性が高まります。
PMIによって得られる効果は、下記のとおりです。
中小企業庁の「中小PMIガイドライン」によれば、M&Aを実施したあとの総合満足度として「ほぼ期待どおり」や「期待を上回った」と回答した企業は、全体の68.3%でした。
各自の強みを掛け合わせることによって、コスト削減や競争力が強化されるなどのシナジー効果を得られます。
また、統合によるシステムなどの見直しから業務効率が改善でき、売上拡大にも繋がります。
従業員が新たな組織で働く不安に対して、雇用の維持や福利厚生を充実させるなどの対策をすれば、従業員は安心して働き続けられて満足度も向上するでしょう。
M&A・事業承継は契約の成立で終わらず、PMIを計画・実施してビジネスの成果を上げるために重要です。
統合後の経営が円滑に行われることによって、業績の改善・向上が期待できます。
しかしPMIが不十分では、業務が停滞して生産性の低下や、顧客対応に悪影響を及ぼす可能性が高いです。
また追加のコストが発生したり、期待していたシナジー効果が得られなかったりして、損失のリスクも高まります。
PMIを成功させることができれば、シナジー効果を最大限に引き出し、企業の一体化や成長が実現可能です。
PMIを成功させる秘訣について、譲渡企業・譲受企業に分けて解説します。
立場の違いによって成功の秘訣は異なるため、ぜひ参考にしてください。
譲渡企業側がPMIを成功させるポイントは、以下のとおりです。
譲渡企業には、過去の成功体験や自社の基準があり、相手企業に「うちは今までこうしてきたから」と言いたくなることもあるでしょう。
しかし譲渡先企業にも企業文化や慣習があるため、自社の基準を強要しないのが大切です。
また、PMIは時間を要するためすぐに成果が見えるわけではなく、長期的に物事を進めることが求められます。
持続可能な成長のために、投資回収に焦らないよう注意しましょう。
そしてPMIの過程では、お互いの従業員が期待や不安を抱いているので、相手企業に配慮し尊重する姿勢も重要です。
譲受企業側がPMIを成功させるポイントは、以下のとおりです。
PMIの過程において、新たなシステムや文化を取り入れる場合もあります。
変化に対して恐れず柔軟に対応する姿勢を見せられれば、PMIを円滑に計画・進行でき、企業全体の成長を促せます。
またPMIをする中で生じる不安や疑問は、素直に打ち明けて早めに解消するのが大切です。
オープンなコミュニケーションを取り、必要な情報やサポートを受けられる体制を整えると、統合の成功に繋がります。
さらに、経営者からPMIの目的・プロセスや期待する成果について説明しておくのは、PMIを成功させるために重要です。
経営者からの明確なメッセージは、従業員の安心に繋がり、PMIの理解と協力を得られます。
PMIの実施手順は、以下の5ステップです。
1つずつ解説します。
PMIを成功させるためには、事前準備が必要です。
「中小PMIガイドライン」によれば、M&Aの効果やシナジーが実現できた企業ほど、PMI開始が早いです。
成功した企業の約6割が、基本合意締結前やデューデリジェンス実施期間中からPMIを検討開始していました。
事前準備では、経営者同士が何度も面談を重ねて、M&Aの目的や目標を明確にしましょう。
さらにデューデリジェンスを実施して、譲受企業・譲渡企業の下記に関する調査を実施します。
デューデリジェンスの実施により、統合後に発生する可能性のある問題点や課題を事前に洗い出し、解決策を準備できます。
また方向性を一致させ、両社が同じ目標に向かって進むための共通認識を持つことが、事前準備の段階で重要です。
統合計画の策定では、主に下記について見直します。
統合後のコスト削減や効率化を図るために、各種費用を精査して最適化を目指します。
また、組織の再編や社内規定を見直して、統合後に機能しやすくなるよう基盤を整えるのも大切です。
人事制度や労務管理も再設計することによって、従業員が新しい環境に適応しやすくなります。
さらに経営管理や経理に関するシステムを統一して、財務の一貫性を保持できるような見直しも必要です。
統合計画を策定する際は、各部門の責任者と連携しながら進めましょう。
PMIは通常業務と同時に行うため、譲受側・譲渡側の人員状況等を踏まえ、適正な推進体制のチーム構築が重要です。
PMIのチームには、経営者や各部門のリーダーなど決定権を持つ人物が望ましいです。
リソースに余裕のある従業員を選んでしまうと、知識・経験が不足していたり組織内での影響力不足などから、PMIが失敗する恐れもあるので注意しましょう。
必要に応じて、M&AやPMIに詳しいサービスや業者に相談するのがおすすめです。
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また無料で相談可能?M&A・事業承継のオススメ相談先や相談方法とは?の記事にて、相談方法の解説もしているので、併せてご覧ください。
PMIでM&A・事業承継の成功を決める重要な期間は、最初の100日だといわれています。
下記に関しては、100日までを目処に集中して実施するのが大切です。
PMI推進体制を早期に整えることで、スムーズな統合を目指します。
また、従業員だけでなく取引先や顧客と信頼関係を築き上げるのも、PMIを円滑に進行するために重要です。
そして、M&A後は正確に現状把握して、計画にズレが生じていないかどうかを確認します。
作成した100日プランに沿ったPMIを進めることによって、統合初期段階での成功に導けます。
統合計画が進行中でも、定期的なモニタリングやフォローアップが必要です。
状況を確認し、計画通りにPMIが進んでいるか、目標に対する進捗を確認します。
もし計画通りに進んでいない場合は、必要に応じて調整を行います。
また評価する際は、下記のような複数の側面から判断するのが大切です。
そしてPMIが終わったあとも、継続的なフォローアップを実施して、問題発生時に迅速な対応ができる体制を整えておきましょう。
上記手順のようにPMIを計画・実施することによって、統合の効果を最大化し、企業の長期的な価値向上を図ることが可能です。
PMIの事例について、中小企業庁のPMI取組事例集をもとに紹介します。
さまざまなパターンで、PMIの取り組み事例を見ていきましょう。
譲受側 | 海そう加工業 M&A経験:2回 |
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譲渡側 | 海そう加工業 |
支援機関 | 中小企業診断士 |
M&Aの背景・目的 | ・譲受側は企業としての成長を企図 ・譲渡側は後継者不在により引継ぎを希望 |
課題・主な取組 | ・M&A後、グループ経営体制の構築 ・シナジー創出に向けて、従業員の意識醸成・取組を開始 |
推進体制 | ・譲受側:社長と営業・管理責任者の計2名 ・譲渡側:管理・営業・生産責任者の計4名 ・支援機関:1名 |
参照:中小企業庁「PMI取組事例集」事例11
事例では同業者でのM&Aを実施し、譲渡側の従業員も含めて納得するまで議論して、統合に向けた意識・機運を醸成しています。
M&A成立後1年は、譲渡側の経営や事業・業務プロセスを引き継ぎ、再現することに注力しました。
また、管理職以上の従業員に自社の経営分析を課して主体性を引き出し、意見交換で統合に向けた意識を育てています。
統合後の方針を社長から示すだけでなく、管理職以上の社員がPMIを進めるようにした結果、M&Aの目的について理解を深められた点は参考になるでしょう。
譲受側 | 専門商社 M&A経験:1回 |
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譲渡側 | 運送業 |
支援機関 | M&Aプラットフォーマー |
M&Aの背景・目的 | ・譲受側は2024年の物流問題対策として、譲渡側にM&Aを提案 ・譲渡側は業界の将来不安から株式譲渡を決断 |
課題・主な取組 | ・新しい共通の物流拠点を設置して物流網の安定化を実現 ・PMIの重要性を社内に浸透させた |
推進体制 | ・譲受側:社長と企画・推進担当者の計2名 ・譲渡側:社長1名 ・支援機関:1名 |
参照:中小企業庁「PMI取組事例集」事例35
上記の事例はもともと取引があった企業同士によるM&Aで、譲渡側の社長は子会社化された後も社長職を継続しています。
物流の2024年問題に対応するため労務管理の改善が必要であり、支援機関が統合方針書を作成して、推進体制や大枠の手順について確認できました。
また譲受側の内部にPMI経験・スキルのある人材が足りず「支援機関に伴走してもらえて助かっている」と振り返っています。
取引関係にあった企業同士が、物流の2024年問題に対し共通の物流拠点設置や、物流網を安定化した点が印象的な事例です。
譲受側 | 製造業 M&A経験:約10回 |
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譲渡側 | 倉庫業 |
支援機関 | コンサルティング業者 |
M&Aの背景・目的 | ・譲受側は景気の影響が大きく、多角化の一環として譲渡側企業を譲り受けた ・譲渡側は、経営基盤の整備・ 強化による企業価値向上が狙い |
課題・主な取組 | ・譲受側の経験を活かしてPMIの課題・対応方針を決定 ・PMIの実効性を高め、経営へのガバナンスを高める経営体制を構築 |
推進体制 | ・譲受側:社長と取締役以下5人の計6名 ・譲渡側:経営層2名 ・支援機関:3名 |
参照:中小企業庁「PMI取組事例集」事例41
上記の事例では、M&A経験豊富である譲受側が譲渡側とグループとしての制度・機能整備やシナジーを生み出す施策を実行しています。
譲受側はM&A成立後から譲渡側の詳細な現状把握を開始し、倉庫事業のノウハウ共有によって売上拡大の余地が確認できました。
譲受側はPMIのタスクリストも保有しており、課題解決に役立つ方針の検討や、施策の実行を効率的に進められています。
譲渡側の取締役に譲受側の社長が就任し、 譲受側から従業員の派遣も行うことで経営・PMIにおけるガバナンスを効かせている点は、参考になるでしょう。
譲受側 | ファンド会社 M&A経験:10回以上 |
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譲渡側 | プラスチック専門商社 |
支援機関 | コンサルティング業者 |
M&Aの背景・目的 | ・業績は好調だが、伸び悩む譲渡側より要望を受け、 ・将来の成長性を評価し譲渡側を譲り受けた |
課題・主な取組 | ・譲渡側の現状を把握するため、 複数の支援機関や ・譲渡側の新社長等から構成されるPMI推進体制を構築 |
推進体制 | ・譲受側:1名 ・譲渡側:社長1名、経理・営業部門の数名 ・支援機関:2名 |
参照:中小企業庁「PMI取組事例集」事例49
上記の事例では、譲渡企業の業績が伸び悩んでいる点に対し、譲受側が引き継いでバリューアップを支援しています。
M&A経験が豊富な譲受側ですが、譲渡側は複雑な事業であったため、支援機関によるサポートを受けています。
譲渡側の新社長と目指すべき姿を決めたことによって、中期経営計画がまとまり、譲渡側のコミュニケーション機会を設けるためにも効果的でした。
PMIは譲受側・譲渡側・支援機関それぞれの主体感と、協力体制があってこそ成功した事例です。
譲受側 | 会社役員が個人でM&Aを実行 |
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譲渡側 | 印刷業 |
支援機関 | M&Aアドバイザリー業者 |
M&Aの背景・目的 | ・特殊印刷業への知見もある譲受側が、後継者不在である譲渡側の譲受けを決断 ・譲渡側の取引先は大手企業一社のみで、経営基盤の強化が目標 |
課題・主な取組 | ・共同経営者と分担し、経営基盤の整備・推進を実施 ・取引先と継続するため信頼関係構築と、取引先一社のみの体制脱却を図る |
推進体制 | ・譲受側:A氏、共同経営者の計2名 ・譲渡側:社長1名 ・支援機関:1名 |
参照:中小企業庁「PMI取組事例集」事例51
上記は、会社役員が個人でM&Aを実行した事例です。
会社役員のA氏と布印刷業を行うB氏が共同経営者となり、譲渡側の事業による対応幅を広げ、取引先拡大が期待されました。
PMI実践ツールによる譲渡側の現状分析や統合方針、PMI計画の策定を二人三脚で取り組みを実施しています。
また、取引先一社のみの体制脱却に向けて、A氏とB氏が持つ顧客網への展開も実施しています。
個人による創業において、PMI実践ツールは具体的に可視化できる、有効な活用ツールだといえるでしょう。
M&A・事業承継は契約成立で終わりではなく、計画的なPMIによって成功が決まります。
事前準備で統合の目的・目標を明確にし、推進体制を適切に構築することによって、PMIのスムーズな進行が可能です。
事例では、M&A経験が複数回ある企業でも、支援機関による適切なサポートを受けていました。
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最終更新日: 2025/1/13
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齋藤 康輔シェアモル株式会社 代表取締役
東京大学教養学部基礎科学科在学中に、半導体(シリコン)のシミュレーションを専攻する傍ら、人材会社にてインターン。
インターン中に人材会社向け業務システムを開発し、 大学卒業後の1年間、上記人材会社にて勤務後、 共同出資で2007年3月に上記システム「マッチングッド」を販売する会社、 マッチングッド株式会社を設立。
12年の経営の後、2019年1月に東証プライム上場企業の株式会社じげんに株式譲渡。
2019年9月、売却資金を元手に、シェアモル株式会社を設立。
自身のM&Aの経験から、買い主と売り主の間での情報の非対称性や、 M&A仲介会社が出している付加価値に疑問を感じ、 自身が思わず依頼したくなるような、 付加価値の高いM&A仲介サービスを提供したいと強く思い、 IT技術をフル活用したM&A仲介事業「シェアモルM&A」をスタート。
現在はシェアモルM&Aと、SEOに強い文章をAIが作成する「トランスコープ」を展開中。