最終更新日: 2025/1/13
「製造業界のM&A・事業承継の実態を知りたい」
「製造業界のM&Aの実例を知りたい」
このようにお考えではありませんか?
本記事では、製造業界の課題をお伝えするとともに、製造業のM&Aの最新情報をお届けします。
製造業界のM&Aの実例も5社紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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まずは、製造業界の概要を解説します。
それぞれ説明します。
製造業は、総務省の定義によると「新たな製品の製造加工を行い、主として卸売する事業所」のことです。つまり、原材料の加工・部品の組み立てをして、完成した製品を販売する産業を指します。
なお、「製品の製造」と「卸売」の両方を満たす必要があるため、梱包や包装作業のみを行う場合は「製造業」には含まれません。
製造業に該当する分野は、自動車や家電の他、食品、医薬品、化学製品など多岐に渡ります。
製造業にはさまざまな分野があり、総務省の日本標準産業分類によると以下の24個の中分類に分類されます。
製造業の中分類 |
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このように製造業には多くの中分類があり、さらに、各中分類には小分類が複数含まれます。
日本の製造業は、第二次世界大戦後、輸出をメインとした経済成長戦略を通じて急成長しました。とくに1960年代から1980年代にかけては、自動車や電子機器などが世界で高い評価を受け、高度経済成長期を迎えます。
1990年代にはバブル経済崩壊の影響を受け、さらに2000年代には中国や韓国など新興国の製造業が盛んになることで、競争が激化します。
しかし、経済産業省「2024年版ものづくり白書」によれば2022年時点で日本のGDPの約2割を製造業が占めており、今も日本の経済を支える主要な産業です。
ただし、課題も多く抱えており、中長期的な対策が求められています。
製造業界には、以下の課題があります。
それぞれ説明します。
日本の少子高齢化に伴い、製造業でも人材不足が問題となっています。
経済産業省「2024年版ものづくり白書」によると、製造業の若年就業者数は2012年ごろまで減少し、以降はほぼ同水準を保っています。なお、2023年の製造業の若年就業者数は259万人でした。
2002年から2004年の若年就業者の割合については、製造業・非製造業ともに30.0%を超える水準でしたが、2023年にはいずれも25.0%程度に下がっています。
日本は今後も少子高齢化に伴う労働人口の減少が続くと考えられており、製造業においても若者を中心とした人材不足解消は大きな課題です。
とくに中小製造業においては、設備投資の不足が課題です。
製造業は事業の特性から、有形固定資産への投資額が高い一方で、無形固定資産への投資額は低く留まっています。
とはいえ、2015年と比較し2023年には無形固定資産への投資額が約7割増加しており、とくにソフトウェア投資額が増えています。
経済産業省「2024年版ものづくり白書」の中に、大企業および中小企業における設備投資の有無を比較した資料があります。
資料によると、有形固定資産投資については大企業で9割以上、中小企業でも8割の企業が行っています。しかし、無形固定資産投資については大企業では約8割の企業が行った一方で、中小企業では5割を切っています。
上記のように、中小製造業においてはとくに無形固定資産への投資が不足しており、DXの推進や業務効率化の遅れにつながっています。
日本の製造業は原材料の輸入割合が高く、世界情勢や円安の影響を受けやすい傾向にあります。
近年は、新型コロナの流行といった予期せぬ事象が続いたことで、原材料の価格急騰や供給量の減少が利益に悪影響を与えてきました。
さらに、エネルギーコストの上昇も加わり、製造業に大きなダメージを与えています。
製造業界においては、生産拠点や調達先の見直しを進め、サプライチェーンを強化することが求められています。
手作業の多い製造業においては、デジタルトランスフォーメーション(DX)により業務を自動化することで、課題解決につながることが期待されています。
しかし、日本の製造業におけるDXは、ICT活用に対する理解不足やICT人材の確保が難しいことから普及が遅れているのが現状です。
ICTとは、インターネットなどの通信技術を活用したコミュニケーションや産業、サービスの総称です。
さらに、必要なシステムの導入には多額のコストがかかるため、金銭的に余裕のない中小企業では導入が難しい傾向にあります。
とくに中小製造業においては、少子高齢化による人材不足が深刻化しており、技術者の育成が遅れています。
技術が承継できなければ製造業界の競争力は徐々に低下してしまいますが、後継者が不足している状況では技術の引き継ぎは難しいと言えます。
また、人手が足りない中、生産性を維持しつつ、どのように人材を育成するかも大きな問題です。
技術承継が十分に行われなければ、技術そのものが失われる危険性もあります。
製造業における事業承継・M&Aの現状を解説します。
それぞれ説明します。
近年は、大手企業が下請け企業を買収することで、すべての工程をグループ内で一貫して行う動きが進んでいます。
大手企業は自社グループ内で製造プロセスを完結させ、内製化することで、より効率的に高品質な生産が可能です。
一方で、下請けである中小部品メーカー側としても、大手の傘下に入ることで高いクオリティへの対応が可能となるメリットがあります。
とくに、後継者問題に悩む中小メーカーでは、大企業の傘下に入ることを目的に会社や事業を売却する事例が増えています。
近年は、製造業界の企業がIT化への対応を目的とし、IT企業を買収する異業種M&Aが増えています。
IT企業とのM&Aを通じて、ITのノウハウや優秀な人材、最新の機器といった経営資源を獲得し、AIやIoTといった新技術に迅速に対応できるのが魅力です。
IT化のための異業種M&Aは、製造業のデジタル化を推進する取り組みの一環として注目されています。
M&Aによる事業承継は、後継者不足を解消する手段として、製造業を含む幅広い業界で増加傾向にあります。
中小製造業では後継者不足の他、相続税や贈与税、個人保証などがハードルとなり、事業承継が困難なケースがあります。
たとえ業績が好調でも、後継者不在のままでは廃業に追い込まれ、従業員や取引先にも悪影響を与えてしまうでしょう。
近年は国の支援が進み、M&Aを行いやすい環境が整ってきたこともあり、製造業界においても後継者問題解決の手段としてM&Aを選択する企業が増えています。
製造業の売却相場に明確な基準はないものの、「時価純資産 + 営業利益 × 2〜5年分」の金額が大まかな相場と言えるでしょう。
営業利益を数年分加算することで、無形資産の価値(のれん代)を評価に加えます。
製造業におけるM&Aの価格は、財務状況だけでなく以下のような要素にも左右されます。
さらに、買い手にとってのM&Aの緊急度合いや、期待されるシナジー効果によっても価格は変わります。実際のM&A価格は、これらの要素が組み合わさることで決定されます。
事業譲渡・株式譲渡の価格算定方法について詳しくは、事業譲渡・株式譲渡の価格算定方法とは?価格に影響する要素も解説も併せてご覧ください。
製造業のM&Aの事例5選をご紹介します。
それぞれ説明します。
株式会社小松製作所は、建設・鉱山機械やユーティリティ(小型機械)、林業機械などの事業を展開する建設機械・鉱山機械の大手メーカーです。
2023年11月、小松製作所は子会社であるコマツアメリカ株式会社を通して、バッテリーメーカーAmerican Battery Solutions, IncのM&Aを実施しました。
概要は以下のとおりです。
株式会社小松製作所は今後、建機電動化の取り組みをさらに加速化させていく方針です。
参考:コマツ「-カーボンニュートラル実現に向けた電動化事業の加速- 米国 American Battery Solutions社を買収」
ニデック株式会社は、精密小型モータ、車載・家電・商業・産業用モータなどの開発から製造・販売を行うメーカーです。
2022年2月、ニデック株式会社(旧:日本電産株式会社)はOKK株式会社のM&Aを行いました。
概要は以下のとおりです。
ニデックは工作機械事業のさらなる拡大を視野に入れており、グローバル成長の加速を目指します。
参考:日本電産株式会社「OKK 株式会社の第三者割当増資の引受に関する資本提携契約締結のお知らせ」
オリンパス株式会社は、日本の光学機器・電子機器メーカーです。
2021年2月、オリンパス株式会社は、医療用蛍光イメージングシステムの主導企業であるオランダの医療機器メーカーQuest Photonic Devices B.V.の株式を取得し、子会社化しました。
概要は以下のとおりです。
オリンパスの内視鏡システムと、Questの蛍光ガイド手術向け技術の組み合わせにより、高品質な蛍光イメージングソリューションを提供可能になると期待されます。
参考:オリンパス株式会社「オランダ医療機器メーカー Quest Photonic Devices B.V.の株式の取得(子会社化)関するお知らせ 」
テクノホライゾン・ホールディングス株式会社は、映像&IT事業やロボティクス事業を軸に、さまざまな製品とサービスを提供しています。
2020年5月、テクノホライゾン・ホールディングス株式会社は、100%子会社である株式会社タイテックを通して株式会社ブルービジョンの株式を取得しました。
概要は以下のとおりです。
ブルービジョンの製品や技術を取り込むことで、高いシナジー効果を得られると期待されます。
参考:テクノホライゾン・ホールディングス株式会社「株式会社ブルービジョンの株式取得に関するお知らせ」
不二精機株式会社は、製麺機・寿司製造機・ご飯盛付け機などを製造し、おにぎりマシンでは8割強のトップシェアの実績があります。
2019年9月、秋元精機工業株式会社を株式譲渡により子会社化しました。
概要は以下のとおりです。
秋元精機工業株式会社の技術・ノウハウを取り込むことで、自動車関連部品を中心とした精密成形品事業の拡大が期待されます。
参考:不二精機株式会社「秋元精機工業株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」
今回は製造業のM&Aについて、業界の課題やM&Aの現状、過去のM&A実例を紹介しました。
ぜひ、この記事を参考に製造業のM&Aの動向を知り、円滑に事業承継を進めていただければと思います。
なお、M&Aを成功させるためには、M&A仲介業者などの専門家を活用することも有効です。
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また、シェアモルM&AのコラムにはM&A・事業承継関連の記事も掲載しておりますので、あわせてご覧ください。
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最終更新日: 2025/1/13
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齋藤 康輔シェアモル株式会社 代表取締役
東京大学教養学部基礎科学科在学中に、半導体(シリコン)のシミュレーションを専攻する傍ら、人材会社にてインターン。
インターン中に人材会社向け業務システムを開発し、 大学卒業後の1年間、上記人材会社にて勤務後、 共同出資で2007年3月に上記システム「マッチングッド」を販売する会社、 マッチングッド株式会社を設立。
12年の経営の後、2019年1月に東証プライム上場企業の株式会社じげんに株式譲渡。
2019年9月、売却資金を元手に、シェアモル株式会社を設立。
自身のM&Aの経験から、買い主と売り主の間での情報の非対称性や、 M&A仲介会社が出している付加価値に疑問を感じ、 自身が思わず依頼したくなるような、 付加価値の高いM&A仲介サービスを提供したいと強く思い、 IT技術をフル活用したM&A仲介事業「シェアモルM&A」をスタート。
現在はシェアモルM&Aと、SEOに強い文章をAIが作成する「トランスコープ」を展開中。