M&Aノウハウ
最終更新日: 2025/5/5
「トランプ関税の影響が読めない中、売上が落ちるのが心配」
「地銀の特別融資枠を使って、今のうちに資金繰りを安定させたい」
このようにお考えではありませんか?
2025年4月、トランプ大統領が日本製品への最大24%の追加関税を発表したことで、中小企業への影響が懸念されています。
こうした状況を受けて、地方銀行では「特別融資枠」を新たに設けており、関税の影響を受ける企業の資金繰りを支援する動きが広がっています。
本記事では、トランプ関税の概要と中小企業への影響を整理したうえで、地方銀行の特別融資枠の特徴や活用方法、申請時の注意点までわかりやすく解説します。
また、場合によっては資金繰り対策の一環としてM&Aを検討することも、有効な選択肢のひとつとなるでしょう。
弊社のシェアモルM&Aは、
の4点で、他社様から選ばれております。
無料相談を実施しておりますので、お気軽にお問い合わせください。
2025年4月、トランプ大統領が米国の産業保護と貿易赤字の是正を目的として、新たな関税政策を導入しました。
政策の柱となっているのが「相互関税」と呼ばれる仕組みで、米国に対して高い関税をかけている国に対し、米国側も同等の関税を課すという内容です。日本も対象に含まれており、具体的には日本製品に最大24%の関税がかかることになりました。
現在は90日間の猶予措置が設けられており、期間中は10%の関税が適用されていますが、猶予期間が終了すれば税率が一気に引き上げられる見通しです。
この関税強化により、自動車や機械部品、電子機器などの主要輸出産業を中心に影響が出る可能性が高まっています。
ここからは、トランプ関税が日本の中小企業に与える影響を具体的に説明します。
それぞれ見ていきましょう。
トランプ関税の影響で、アメリカ向けの輸出にブレーキがかかる可能性があり、中小企業では売上や受注の減少が懸念されています。
大阪商工会議所が行った調査では、57.0%の企業が「すでに影響が出ている、または今後影響がある」と回答しました。
また、想定される影響として、37.7%の企業が「取引先の対米輸出縮小に伴う受注減少」を挙げています。
たとえ自社が直接アメリカに輸出していない場合でも、サプライチェーンの一部として米国市場に関わっている企業は多く、こうした間接的な影響がじわじわと広がっているのが現状です。
売上や受注の減少は、そのまま資金繰りの悪化につながります。なかでも、資金的な余裕が少ない中小企業にとっては、一時的な売上の落ち込みでも資金ショートのリスクが高まりかねません。
売上の減少が続くと、企業のキャッシュフローが悪化し、資金繰りに苦しむ中小企業が増える可能性があります。
帝国データバンクの試算によると、仮に現在の関税率(10%)が90日後に最大24%まで引き上げられた場合、日本の2025年度の実質GDP成長率は従来予測から0.5ポイント下がる可能性があるとされています。実質GDP成長率低下の影響で、企業全体の経常利益は減少に転じ、倒産件数も年間でおよそ340件(約3.3%)増加する見込みです。
なお、仮に関税が10%のままで推移したとしても成長率は0.3ポイント低下し、倒産件数は約250件増えると見込まれています。
トランプ関税によって、とくに地方の製造業や輸出に頼る中小企業への影響が懸念されています。
アメリカとの取引が多い企業ではコスト増や受注減などのリスクが高まっており、さらに直接の輸出企業だけでなく、下請けを含むサプライチェーン全体に波及する恐れがあります。
金融庁の調査では、地方の金融機関の約2割が「取引先企業から今後の資金繰りに不安の声が出ている」と回答しました。今のところ、実際に影響が出ている企業の割合は限られているものの、製造業を中心に、受注キャンセルや就業時間の短縮といった動きも一部で見られています。
地方経済において製造業は重要な役割を果たしており、企業への影響が地域全体に影響を及ぼす可能性も否定できません。こうした状況を受け、金融庁は地方銀行などに対して企業の経営状況を把握し、必要な支援に動くよう呼びかけています。
トランプ関税の影響が懸念される中、地方銀行が中小企業の資金繰りをサポートするために設けている「特別融資枠」に注目が集まっています。
特別融資枠とは、急激な経済変化や外部リスクに直面する企業に対して、通常よりも柔軟な条件で資金を提供する仕組みのことです。審査や貸付条件が緩和されているケースが多く、迅速な資金供給が可能です。
実際、京都銀行や東邦銀行など、すでに複数の地方銀行が特別融資枠を新たに設定し、関係先企業への対応を強化しています。
また、金融庁も今回の関税による影響に強い関心を持っており、製造業が多く集まる地域の金融機関に対して聞き取り調査を始めています。
地方銀行各社では、トランプ関税の影響を受ける中小企業を支援するために「特別融資枠」の整備を進めています。
地方銀行による主な支援策
支援内容 | 銀行名・対応内容 |
---|---|
相談窓口の設置 | あいち銀行、名古屋銀行(全営業店に設置) 常陽銀行、滋賀銀行、山陰合同銀行など |
特別融資の実施 | ・京都銀行:上限5億円、全店で受付開始 ・東邦銀行:上限3億円、融資期間最長20年 ・広島銀行:上限1億円の特別融資開始 ・三十三銀行:特別金利、無担保8000万円・有担保2億円まで ・大垣共立銀行、十六銀行、百五銀行:特別融資の受付開始 |
融資先への影響調査 | 静岡銀行、きらぼし銀行、群馬銀行など |
株価下落に伴う顧客相談 | 伊予銀行、北洋銀行、山口フィナンシャルグループなど |
地方銀行によるの支援は、関税の影響で売上減や資金繰りに不安を感じている中小企業を対象としており、無担保融資や低金利、長期返済といった柔軟な条件での提供が特徴です。
中小企業が地方銀行の特別融資枠を活用するメリットとしては、以下の5点が挙げられます。
それぞれ説明します。
地方銀行が用意している「特別融資枠」は、一般的な融資と比べて金利や返済条件が優遇されているケースが多く、中小企業にとって利用しやすい制度といえます。
とくに、自治体や政府系金融機関と連携した制度融資では、通常よりも低い金利が設定されているのが特徴です。
また、返済期間も比較的長めに設定されることが多く、10年〜20年といった長期での返済が可能なケースも見られます。
一時的に資金繰りが厳しくなっても、低金利・好条件での借入により、事業の継続や立て直しの大きな力になるでしょう。
特別融資枠のメリットのひとつが、資金調達までのスピードです。通常の融資と比べて、審査や手続きが簡素化されているケースが多く、申請から融資実行までの時間が短縮される傾向にあります。
そのため、急ぎで資金が必要な場面でも、比較的短期間で資金を確保できる可能性があります。
とくに、公的保証が付いた融資では金融機関側のリスクが軽減されるため、対応がスムーズになりやすいのも特徴です。
急な売上減や支払いへの対応など、タイミングが重要になる場面でも柔軟に活用しやすい制度といえるでしょう。
特別融資枠は、運転資金から設備投資まで幅広い用途に使えることが多く、使い道の自由度が高いのが特長です。
たとえば、仕入れ費用や人件費の確保、新規設備の導入、事業再構築のための資金など、企業ごとの状況に応じて自由に資金を配分できます。
通常の補助金や助成金とは異なり、資金の使途に細かい制約が設けられていない場合も多いため、現場の判断で機動的に使えるのもメリットです。
特別融資枠は、金融機関の通常融資や信用保証協会の保証付き融資と組み合わせて活用が可能です。
また、自治体の制度融資や補助金と併用するケースも多く、目的や資金ニーズに応じて柔軟な資金調達戦略を組み立てやすい点も魅力です。
地方銀行の大きな強みは、地元に密着した金融機関として、企業との距離が近いことです。
地域の経済や産業構造、企業ごとの事情にも精通しているため、顔の見える関係で相談できる安心感があります。また、企業の業種や経営状況、地域経済の動きにも理解があるため、画一的でない柔軟な対応が期待できます。
全営業店に相談窓口を設置している地方銀行も多く、資金繰りや融資に関する相談に対して、スピーディーで丁寧な対応を受けられる点でも頼りになる存在といえるでしょう。
ここからは、特別融資枠を申請する際の注意点を5つ紹介します。
それぞれ見ていきましょう。
特別融資枠を活用するには、まず自社が制度の対象となっているかを確認することが重要です。多くの融資制度では、業種や所在地、売上の減少幅など具体的な条件が定められています。
金融機関や自治体、信用保証協会などが公表している募集要項やパンフレットを事前に確認し、不明な点があれば早めに窓口へ相談しましょう。
特別融資枠を申請する際には、「返済できる見込み」が重要な判断材料となります。そのため、売上見通しやコスト削減策などを盛り込んだ、現実的な返済計画を用意しておきましょう。
たとえ一時的に資金繰りが悪化していても、回復の見込みや改善策を明確に伝えることで、金融機関の信頼を得やすくなるでしょう。
特別融資枠を利用する際は、1つの金融機関に絞らず、他行や自治体・政府系金融機関の制度とも比較することが大切です。
金利や返済期間、審査のスピードなどは機関によって異なるため、自社に合った条件を選ぶことで、資金繰りの負担を軽減できるでしょう。
また、制度を組み合わせることで、より有利な資金調達が可能になる場合もあります。
特別融資枠は資金繰りの助けになりますが、それだけに依存せず、経営自体の見直しも並行して進めることが大切です。
トランプ関税は一時的な措置にとどまらない可能性があり、収益構造の見直しや販路の多様化など、中長期的な対応が求められます。
たとえば、国内市場の深掘りやアジア・欧州への輸出拡大、デジタルによる販売改革なども、有効な選択肢となるでしょう。
資金支援に頼るだけでなく、自社の体質強化を図ることが、将来の安定経営につながります。
特別融資の申請や資金繰りの見直しに不安がある場合は、早めに専門家へ相談することが重要です。
税理士や中小企業診断士、金融機関の担当者は、制度の仕組みや必要書類の整備、経営改善の方向性などについて実務的かつ的確なアドバイスを提供してくれるでしょう。
また、商工会・商工会議所には無料相談窓口が設けられており、融資制度の比較検討や申請サポートにも対応しています。
商工会議所について詳しくは、商工会議所とは?役割や加入するメリット・デメリットを徹底解説をご参考ください。
さらに、事業再構築や成長戦略を見直す局面ではM&A仲介会社などの専門家に相談することで、事業売却や統合、新規事業への参入といった幅広い選択肢を検討することも可能です。
今回は、トランプ関税による中小企業への影響と地方銀行の特別融資枠の概要やメリット、注意点を解説しました。
関税の影響で資金繰りに不安を感じている企業にとって、地方銀行が提供する特別融資は低金利・長期返済といった好条件に加え、相談しやすい体制が整っている点でも心強い支援策といえるでしょう。
とはいえ、資金支援に頼るだけではなく、販路の見直しやビジネスモデルの再構築といった経営全体の強化にも目を向けることが欠かせません。
今後の事業展開や再構築を本格的に考える際には、M&A仲介会社などの専門家に相談してみるのも、有効な選択肢のひとつです。
なお、弊社のシェアモルM&Aは、
の4点で、他社様から選ばれております。
また、シェアモルM&AのコラムにはM&A・事業承継関連の記事も掲載しておりますので、あわせてご覧ください。
シェアモルM&Aでは無料相談を実施しておりますので、こちらよりお気軽にお問い合わせください。
■M&A・事業承継の仲介ならシェアモルM&A
最終更新日: 2025/5/5
ミーティング時に貴社とシナジーのあるクライアントの概要をお伝えいたします。
無料で事業価値の算定も可能でございますので、まずはお気軽にご相談いただけましたら幸いです。
齋藤 康輔シェアモル株式会社 代表取締役
東京大学教養学部基礎科学科在学中に、半導体(シリコン)のシミュレーションを専攻する傍ら、人材会社にてインターン。
インターン中に人材会社向け業務システムを開発し、 大学卒業後の1年間、上記人材会社にて勤務後、 共同出資で2007年3月に上記システム「マッチングッド」を販売する会社、 マッチングッド株式会社を設立。
12年の経営の後、2019年1月に東証プライム上場企業の株式会社じげんに株式譲渡。
2019年9月、売却資金を元手に、シェアモル株式会社を設立。
自身のM&Aの経験から、買い主と売り主の間での情報の非対称性や、 M&A仲介会社が出している付加価値に疑問を感じ、 自身が思わず依頼したくなるような、 付加価値の高いM&A仲介サービスを提供したいと強く思い、 IT技術をフル活用したM&A仲介事業「シェアモルM&A」をスタート。
現在はシェアモルM&Aと、SEOに強い文章をAIが作成する「トランスコープ」を展開中。