最終更新日: 2025/1/13
「事業承継ガイドラインは、どのようなものか知りたい」
「自社でどのように活用できるのか知りたい」
このようにお考えではありませんか?
本記事では、中小企業庁による「事業承継ガイドライン」について分かりやすくお伝えするとともに、背景や目的、活用するメリットについて詳しく解説します。
あわせて、事業承継ガイドラインだけでは対応が難しい場合の対策も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
なお、弊社のシェアモルM&Aは、
の4点で、他社様から選ばれております。
無料相談を実施しておりますので、お気軽にお問い合わせください。
事業承継ガイドラインは、中小企業の経営者や小規模事業者に向けて、中小企業庁によって作成されました。
事業承継で課題となる事柄について解説するとともに、円滑に進めるために必要な基本方針やプロセスが載っています。
2006年に策定された後、2016年と2022年に改訂が行われ、2024年9月時点では第三版が公開されています。
事業承継ガイドライン策定の背景には、「中小企業経営者の高齢化」と「後継者不在」という2つの問題があります。
中小企業は、日本企業のうち99%を占める重要な存在ですが、後継者がいないことから廃業を選択せざるを得ないケースが増えています。
中小企業庁の「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」によると、2025年までに70歳を超える中小企業の経営者は約245万人に及ぶと推定されており、うち約半数の127万件で後継者が未定です。
さらに、近年では従来の親族内承継だけでなく、従業員承継および第三者承継(M&A)の割合も増えており、事業承継の形態が多様化していることも課題のひとつです。
中小企業経営者の高齢化と後継者不在により廃業が増加している状況や、事業承継の多様化が課題となっているため、事業承継の重要性と取り組むにあたっての課題を伝え、中小企業の経営者が円滑に事業を引き継ぐ助けとなるよう事業承継ガイドラインが作られました。
2022年改訂の主なポイントは、以下の3点です。
改訂版では、掲載データの更新とともに、2016年の改訂以降に新たに加わった施策が反映されています。
また、近年増えてきている従業員承継およびM&Aについての説明や、後継者側の目線に立った説明が強化されているのもポイントです。
事業承継ガイドラインを活用するメリットは、中小企業庁による信頼性の高い情報のもと、正しい知識を学べることです。
また、ガイドラインでは事業承継の準備・進め方についてステップ形式で分かりやすく説明されており、参考にすることで適切に対策を立てる手順が学べるでしょう。
さらに、ガイドラインには相続税や贈与税といった、事業承継にともなって発生する税金に関する制度についての最新情報も含まれています。
事業承継にともなって発生する税金については、【最新版】M&Aによる株式譲渡や事業譲渡の税金について徹底解説でも詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください。
他にも、成功事例が複数掲載されているため、まだ事業承継のイメージが湧かないという場合には参考にすることも可能です。
ここでは、事業承継ガイドラインの内容について分かりやすくお伝えします。
それぞれ説明します。
第1章では、中小企業の現状や早期に事業承継へと取り組む重要性について、具体的なデータを示して説明しています。
中小企業においては、経営者の高齢化が進んでいるにもかかわらず、後継者が不在という問題を抱えています。
そこで、スムーズに事業を承継するためには、なるべく早い時期から承継に向けて取り組むことが重要です。
また、事業承継の方法にはおもに親族内承継・従業員承継・M&Aの3つがあり、それぞれの特徴や課題も紹介されています。
第2章では、事業承継の準備と実行について、以下の5ステップに分けて具体的な説明がされています。
まずは、経営者や役員など主要な関係者に必要性を理解してもらうことが重要です。
続いて、自社の経営状況や課題を把握し、経営改善を進めて承継後の成長を支える基盤を固めていきます。
具体的な実行方法は、後継者が親族または従業員のケースと、社外の第三者のケースで異なり、それぞれの手続きの進め方が詳しく解説されています。
さらに、事業承継を実行した後の成長や発展に関する話題や、廃業という選択についても触れられているので参考にするとよいでしょう。
第3章では、事業承継の種類ごとに、課題と対応策について詳しく述べられています。
■親族内承継
「後継者の選定・育成の難しさ」「贈与税・相続の負担」「株式・事業用資産の分散」がおもな課題です。それぞれの課題への対策を紹介しています。
■従業員承継
「後継者候補の確保と育成」「関係者の理解と協力」「資金調達への対応」が課題です。対策として、候補者や関係者との対話的アプローチや、投資ファンドの活用といった資金調達法が示されています。
■社外への引継ぎ(M&A)
手法について、具体的な手続きや留意点を細かく説明されています。M&Aでは準備から実施後までプロセスが多く、専門的な知識を必要とすることから、M&A支援機関への相談が効果的です。
とくに、親族内承継をおもに考えている方にとっては、従業員承継やM&Aについては学びが多い章と言えるでしょう。
第4章では、事業承継を円滑に進行するための具体的な手法について、以下の4つを解説しています。
事業を引き継ぐ際は上記の手法を理解し、組み合わせて活用することで、スムーズに承継を進められるでしょう。
第5章では、個人事業主に焦点を当てて、事業承継の課題と対応策が説明されています。
事業承継の課題は、個人事業主であっても企業と同じ部分が多くあります。
ただし、個人事業主においては経営者個人が事業用資産を所有しているため、事業を継続するために必要な資産を一つひとつ後継者に引き継ぐ必要があります。
また、企業のように法人格が引き継がれるわけではないため、事業に必要な許認可を後継者が再度取得したり、取引先との契約を引き継いだりすることも必要になります。
個人事業主が事業継承する場合は、準備の段階から支援機関のアドバイスを受け、後継者がスムーズに事業を引き継ぐことができるように計画的に進めることが重要です。
第6章では、事業承継を支援する仕組みについて説明しています。
商工会議所・金融機関・税理士・弁護士といった専門家が連携して中小企業を支援しており、中小企業経営者としては、まずは身近な支援機関に問い合わせてみることが事業承継に向けた第一歩となるでしょう。
また、支援機関では各社の課題を早期発見・解決するために「事業承継診断」が実施されており、年間16万件以上の診断が行われています。
さらに、事業承継のサポート機関についても詳しく記載されており、士業専門家・金融機関・商工会議所・中小企業団体中央会・認定経営革新等支援機関・M&A支援機関・公的期間の概要や連絡先が網羅されています。
事業承継ガイドラインによく似たものとして、「事業承継マニュアル」があります。
事業承継マニュアルは、事業承継ガイドラインの内容を基にして作られたマニュアルで、2016年の事業承継ガイドライン改訂に合わせて作成されました。
図表や絵を多用して視覚的にも理解しやすい工夫がされているほか、計画の各ステップについてもより具体的な方法が記されているため、はじめて事業承継を学ぶ方にも向いているでしょう。
事業承継マニュアルは紙媒体での配布は行っておらず、中小企業庁のサイトからPDF形式でダウンロードが可能です。
中小M&Aガイドラインは、中小企業庁により2015年に策定された「事業引継ぎガイドライン」を全面改訂して、2020年に策定されたガイドラインです。
「事業承継ガイドライン」と「中小M&Aガイドライン」の大きな違いは、対象とする範囲とカバーしている内容です。
ガイドライン名 | 対象 | 内容 |
---|---|---|
事業承継ガイドライン | 後継者不在に悩む中小企業や小規模事業者 | 事業承継の方法や対策などの基本を網羅 |
中小M&Aガイドライン | 後継者不在に悩む中小企業とM&A支援機関の2つが対象 | M&Aに関する事例や進め方、プラットフォームの解説 |
事業引継ぎガイドラインは中小企業を対象とし、事業を引き継ぐ方法や対策の手引きとして策定されました。
一方で、中小M&Aガイドラインでは「中小企業向けの手引き」に加え「支援機関向けの行動指針」としての内容も含まれています。
中小M&Aガイドラインは2020年に初版が策定された後、2023年と2024年に改訂が行われ、2024年9月時点で第3版が公開されています。
事業承継のうち、とくにM&Aについて詳しく知りたい場合は、中小M&Aガイドラインも参考にするとよいでしょう。
事業承継ガイドラインの内容では対応が難しいと感じた場合の対策は、以下の4つです。
それぞれ説明します。
事業承継ガイドラインに添付されている「事業承継診断シート」および「事業承継自己診断チェックシート」は、中小企業が自社の現状を把握するために役立ちます。
診断表を使い自社の状況や承継準備の進捗度合いをチェックすることで、必要な対策や支援領域が明確になります。
外部に相談する場合にも、あらかじめセルフチェックしておくことで、自社の場合にはどこに相談するのが効果的かを判断しやすくなるでしょう。
事業承継マニュアルは、事業承継ガイドラインの内容を、図表やイラストを使い分かりやすくまとめた解説書です。
事業承継マニュアルは、中小企業庁のサイトで公開されており、PDF形式でダウンロードが可能です。
事業承継計画の立て方や後継者の選び方、税制対策といった内容が、より親しみやすく理解しやすいように解説されています。
まずは事業承継マニュアルで大枠を把握し、詳細については事業承継ガイドラインを参考にするのもひとつの方法と言えるでしょう。
事業承継ガイドライン20問20答は、事業承継ガイドラインをより手軽に理解できるよう、中小企業庁により作成されました。
事業承継ガイドラインの内容のうち、とくに重要な項目について1問1答形式で解説しています。
カラーで作られている上に図解が多く、はじめて事業承継を学ぶ方でも取り組みやすい構成となっています。
まずは「事業承継ガイドライン20問20答」から目を通すのもよいでしょう。
事業承継ガイドライン20問20答は2008年に作成後、2009年に改訂され、2024年9月時点では「中小企業事業承継ハンドブック 26問26答 平成21年度税制改正対応版」が公開されています。
M&A・事業承継はプロセスが多く複雑であり、さらに会計・財務・法務の専門知識が必要なため、専門家に相談するのも有効です。
M&Aの知識やノウハウ、会計・税務・法務に関する幅広い知識を有する専門家の支援を受けることで、より円滑に事業承継を進められるでしょう。
相談する際は、自社の状況やサポートが必要な領域に適した専門家を選ぶことが重要です。
M&Aの相談先の選び方について詳しくは、無料で相談可能?M&A・事業承継のオススメ相談先や相談方法とは?をご覧ください。
今回は、中小企業庁による「事業承継ガイドライン」について分かりやすくお伝えするとともに、背景や目的、活用するメリットについて詳しく解説しました。
あわせて、事業承継ガイドラインだけでは対応が難しい場合の対策も紹介しましたので、ぜひ、本記事を参考に円滑な事業承継を目指していただければと思います。
なお、弊社のシェアモルM&Aは、
の4点で、他社様から選ばれております。
また、シェアモルM&AのコラムにはM&A・事業承継関連の記事も掲載しておりますので、あわせてご覧ください。
シェアモルM&Aでは無料相談を実施しておりますので、こちらよりお気軽にお問い合わせください。
最終更新日: 2025/1/13
ミーティング時に貴社とシナジーのあるクライアントの概要をお伝えいたします。
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齋藤 康輔シェアモル株式会社 代表取締役
東京大学教養学部基礎科学科在学中に、半導体(シリコン)のシミュレーションを専攻する傍ら、人材会社にてインターン。
インターン中に人材会社向け業務システムを開発し、 大学卒業後の1年間、上記人材会社にて勤務後、 共同出資で2007年3月に上記システム「マッチングッド」を販売する会社、 マッチングッド株式会社を設立。
12年の経営の後、2019年1月に東証プライム上場企業の株式会社じげんに株式譲渡。
2019年9月、売却資金を元手に、シェアモル株式会社を設立。
自身のM&Aの経験から、買い主と売り主の間での情報の非対称性や、 M&A仲介会社が出している付加価値に疑問を感じ、 自身が思わず依頼したくなるような、 付加価値の高いM&A仲介サービスを提供したいと強く思い、 IT技術をフル活用したM&A仲介事業「シェアモルM&A」をスタート。
現在はシェアモルM&Aと、SEOに強い文章をAIが作成する「トランスコープ」を展開中。