最終更新日: 2025/3/17
「割引現在価値について知りたい」
「計算方法や、どのような場面で利用されるか把握しておきたい」
上記のように、割引現在価値を理解したいのではないでしょうか。
この記事では割引現在価値に関する概要や、M&A・事業承継で重視される理由について解説します。
計算方法や利用例も紹介するため、ぜひ参考にしてください。
なお、弊社のシェアモルM&Aは、
の4点で、他社様から選ばれております。
無料相談を実施しておりますので割引現在価値が気になる方は、ぜひお問い合わせください。
割引現在価値について以下の観点から解説します。
なお、割引現在価値はDPV(Discounted Present Value)とも表現されます。
割引現在価値は、将来発生する資金収支を今の価値に変える方法です。
「お金の時間価値(Time Value of Money)」の概念に基づいており、今の100万円と未来の100万円では、今の方が価値は高いという考え方です。
お金の価値は、インフレーションによる物価変動や、将来の不確実性によって変動します。
そのため、ビジネスの世界では、投資判断・企業価値評価などの場面で広く活用されています。
M&A・事業承継の企業価値評価においては、将来の利益を現在価値に変換して、投資の妥当性を判断するために用いられるケースが多いです。
現在価値とは、将来の資金収支を今の価値に変えた数値です。
割引現在価値とほぼ同じ意味で使用されています。
たとえば、年利3%の資産運用で1年後に200万円になるお金は、今の価値にすると約194.17万円です。
100万円÷(1+0.03)=194.17万円 |
上記のように、将来的なお金の価値を今の価値に変えた数値を「現在価値」と呼びます。
将来価値とは、今の資産が将来どれほどの価値になるかを示すものです。
たとえば、年利1%に設定されている定期預金に300万円を預けた場合、1年後は303万円になります。
300万円×(1+0.01)=303万円 |
上記のように、今のお金が将来いくらになるかを示す数値が「将来価値」です。
将来価値を計算すれば投資戦略の判断ができたり、資金計画を立てやすくなったりします。
M&A・事業承継を進めるときに割引現在価値を出せば、適正な買収価格を見積もることが可能です。
また、割引現在価値は交渉材料に用いられたり、複数のシナリオでシミュレーションしたりする際にも有効です。
譲受企業は、承継する企業にどれほどの価値があるのかを具体的に把握したい、と考えています。
企業価値評価には、主に3つの算定方法があります。
企業価値評価の種類 | 概要 |
---|---|
コストアプローチ | 企業が保有する資産・負債を基準とする |
インカムアプローチ | 将来の収益・キャッシュフローに対し割引率を反映させて 評価する |
マーケットアプローチ | 類似企業の取引価格を参考に評価する |
上記のうち、コストアプローチでは将来性を考慮できません。
また、マーケットアプローチでは類似企業が見つからず、参考情報を入手できない可能性があります。
割引現在価値は「インカムアプローチ」に分類され、将来性を考慮できる評価方法です。
M&A・事業承継においては、将来の不確実性を考慮しつつ本質的な企業価値を見極められるため、取引価格の妥当性を検証するうえで有効な判断材料となります。
割引率は、将来価値を今の価値に変換する際に使用される割合です。
資本コストや市場のリスク、企業固有のリスクなどを考慮して設定されます。
将来的に高リスクの企業は割引率も大きく、低リスクであれば割引率は小さくなります。
つまり、割引率の設定次第で割引現在価値は変わるため、適切な検討と判断が重要です。
将来のあらゆるリスクに対してどのように捉えるかについては、財務担当者や専門家と十分な協議を行いましょう。
割引現在価値を出す計算方法について、以下の3点を解説します。
割引率と経過年数を変えた場合の計算例を4つ挙げているため、ぜひ参考にしてください。
割引現在価値の基本的な計算式は、以下のとおりです。
割引現在価値=n年後の価値÷(1+割引率)^n年(期間) |
「n年後の価値」は、将来的に発生する資金収支を表します。
たとえば、1年後に受け取る200万円を割引率5%で計算すると、次のとおりです。
200万円÷(1+0.05)=190.47万円 |
「n年後の価値」や「割引率」をどのように設定するかで、割引現在価値は変わります。
割引率と経過年数を変えた場合の計算例を、4つ紹介します。
【例1】 前提:3年後の500万円を、割引率5%で割引現在価値に変えた場合 計算式:500万円÷(1+0.05)³=約431万円 |
【例2】 前提:3年後の500万円を、割引率8%で割引現在価値に変えた場合 計算式:500万円÷(1+0.08)³=約396万円 |
【例3】 前提:5年後の500万円を、割引率5%で割引現在価値に変えた場合 計算式:500万円÷(1+0.05)⁵=約391万円 |
【例4】 前提:5年後の500万円を、割引率8%で割引現在価値に変えた場合 計算式:500万円÷(1+0.08)⁵=約340万円 |
上記の計算例から、同じ500万円でも経過年数や割引率が変われば、割引現在価値も異なることが分かるでしょう。
時間が経過するほど不確実性は増し、現在価値は低く見積もられます。
また、将来の価値が低くリスクの高い企業ほど割引率が大きくなり、割引現在価値は低下します。
割引現在価値をカンタンに計算できるサイトは以下の2つです。
keisanの方が入力項目数は少ないため、シンプルで使いやすいでしょう。
なお、Excelやスプレッドシートに、計算式を入力する方法もあります。
しかし、上記のサイトを利用すれば、項目を入力するだけで割引現在価値をカンタンに計算可能です。
割引現在価値は、以下の場面で利用されています。
それぞれの詳細について、見ていきましょう。
M&A・事業承継を行う際、企業価値を算出する目的で割引現在価値を使用します。
買収価格の交渉や、譲渡側が企業の将来性を適切に評価して、利益を最大化する際に活用されます。
割引現在価値を基に、買収価格が適正かどうかを判断でき、投資リスクを抑えることが可能です。
割引現在価値の理解は、M&A・事業承継の交渉を有利に進めるためのポイントとなります。
なお、事業譲渡や株式譲渡の価格算定方法については「事業譲渡・株式譲渡の価値算定方法とは?価格に影響する要素も解説」にて解説しているため、併せて参考にしてください。
会計基準では、以下のような場面で割引現在価値を使用します。
たとえばリース会計では、賃借契約のリース料を割引現在価値で測定することによって、貸借対照表上の資産・負債の評価が可能です。
また企業が将来支払う退職給付金の負債を、割引現在価値を使用し今の負債額として計算すれば、財務状況を適切に把握できます。
会計基準における割引現在価値は、財務報告の透明性を高め、ステークホルダーに対して正確な情報を提供するのが目的です。
不動産投資では、不動産の将来的な資金収支を今の価値に変換する際に使用されます。
不動産そのものの価値を評価して、将来の家賃収入や管理費などの考慮が可能です。
たとえば、とある不動産物件が、今後10年間で年500万円の家賃収入を見込めるとします。
将来の家賃収入を現在価値にすれば、不動産物件の適正な購入価格を判断できます。
また、不動産売却を検討する際も割引現在価値を使用すれば、すぐに売却すべきか保有し続けるべきかの判断が可能です。
不動産投資では、収益性の高い物件を見極める目的で割引現在価値の活用が有効です。
なお不動産M&Aについては「不動産M&Aとは?不動産売買との違い、手法やメリットを解説」で解説しているため、併せて参考にしてください。
割引現在価値におけるメリット・デメリットについて説明します。
メリットは以下のとおりです。
割引現在価値は「インカムアプローチ」に分類され、企業の成長性や収益性を評価できる点がメリットです。
M&Aや事業承継では、過去の実績だけでなく、将来的にどの程度の収益を生み出せるかが重要になります。
また、割引現在価値は特定の事業やプロジェクトごとに評価できるため、柔軟な活用が可能です。
譲受側にとっても、特定の事業を評価することで、M&Aによる投資判断をより正確に実施できるメリットがあります。
デメリットは以下のとおりです。
キャッシュフローの予測が楽観的すぎると過大評価となり、悲観的すぎると過小評価につながるため、適切な前提条件を設定するのが非常に重要です。
また、割引現在価値の計算は評価者の判断による部分が大きく、恣意性を排除するのが難しいというデメリットがあります。
譲渡企業は高く評価されるように設定しがちである一方、譲受企業はより低く評価しようとするでしょう。
そのためM&A・事業承継の交渉では、評価手法を組み合わせたり第三者の専門家を活用したりして、客観性の確保が求められます。
なお、割引現在価値はDCF法で活用されており「M&A・事業承継における企業価値算定のDCF法とは?」のコラムにてメリット・デメリットを詳しく解説しているため、併せて参考にしてください。
割引現在価値は、将来的なキャッシュフローを現在の価値に割引する方法です。
企業の将来性を反映できるメリットがあり、M&A・事業承継や会計基準、不動産投資の場面で利用されています。
ただし、計算の前提となる割引率や年数の設定によって結果が変動するため、恣意性の排除が困難な点はデメリットです。
割引現在価値を活用すれば買収価格の交渉や、譲渡側が企業の将来性を適切に評価できるため、専門家のサポートを受けながら計算するのをおすすめします。
なお、弊社のシェアモルM&Aは、
の4点で、他社様から選ばれております。
M&A・事業承継に関する以下のコラムを掲載しているため、併せて参考にしてください。
最終更新日: 2025/3/17
ミーティング時に貴社とシナジーのあるクライアントの概要をお伝えいたします。
無料で事業価値の算定も可能でございますので、まずはお気軽にご相談いただけましたら幸いです。
齋藤 康輔シェアモル株式会社 代表取締役
東京大学教養学部基礎科学科在学中に、半導体(シリコン)のシミュレーションを専攻する傍ら、人材会社にてインターン。
インターン中に人材会社向け業務システムを開発し、 大学卒業後の1年間、上記人材会社にて勤務後、 共同出資で2007年3月に上記システム「マッチングッド」を販売する会社、 マッチングッド株式会社を設立。
12年の経営の後、2019年1月に東証プライム上場企業の株式会社じげんに株式譲渡。
2019年9月、売却資金を元手に、シェアモル株式会社を設立。
自身のM&Aの経験から、買い主と売り主の間での情報の非対称性や、 M&A仲介会社が出している付加価値に疑問を感じ、 自身が思わず依頼したくなるような、 付加価値の高いM&A仲介サービスを提供したいと強く思い、 IT技術をフル活用したM&A仲介事業「シェアモルM&A」をスタート。
現在はシェアモルM&Aと、SEOに強い文章をAIが作成する「トランスコープ」を展開中。