最終更新日: 2025/2/4
「事業承継やM&Aのデューデリジェンスとは、どのようなものか知りたい」
「デューデリジェンスの重要性や方法を知りたい」
このようにお考えではありませんか?
本記事では、M&A・事業承継におけるデューデリジェンス(DD)について、目的や種類、実施する方法、費用まで解説します。
あわせて、デューデリジェンスの注意点についても解説するので、M&A・事業承継を検討する際の参考にしてください。
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M&Aや事業承継においてデューデリジェンス(DD)とは、買い手が売り手企業について詳細に調査を行う工程を指します。
まずは、M&A・事業承継におけるデューデリジェンスの目的や実施されるタイミングと期間を解説します。
M&A・事業承継におけるデューデリジェンスの目的には、おもに以下の2つがあります。
それぞれ説明します。
M&Aや事業承継の際、売り手企業に対する理解が足りないと、買収後に思わぬトラブルや損害を被る恐れがあります。
そのため、売り手企業について法務・財務・人事などさまざまな面から詳しく調査することで隠れたリスクを把握し、契約条件の交渉や、M&Aを進めるかどうかの判断に役立てます。
M&Aという大きな取引を成功させるために、デューデリジェンスはなくてはならないプロセスです。
M&Aは成約がゴールではなく、買収後の統合作業(PMI)がうまくいくかどうかが実際の成功のカギとなります。
PMIを円滑に進めるには、売り手企業への理解が必要不可欠です。デューデリジェンスにより契約前に売り手企業の詳細な情報を把握することで、早い段階でPMIの方向性を決定しやすくなります。
PMIを円滑に進め、M&Aを本当の意味で成功させるためにも、デューデリジェンスは欠かせないプロセスです。
M&A・事業承継後のPMIについて詳しくは、M&A・事業承継後のPMI成功の秘訣!手順と事例から学ぶコラムをご覧ください。
デューデリジェンスは、基本合意契約の締結後から最終契約までの間に行われます。
一般的には1〜2ヶ月程度で実施されますが、企業の規模や調査範囲によっては、2週間程度で完了するケースや、反対に6ヶ月を超えるケースも見られます。
デューデリジェンスを短期間で円滑に進めるためには、売り手企業の協力が欠かせません。売り手側の負担や動きを考慮した上で、計画的に進めることが大切です。
M&A・事業承継の流れについて詳しくは、M&A・事業承継の流れを徹底解説!初回相談からクロージングまで!をご覧ください。
M&Aにおけるデューデリジェンスには、おもに以下のような種類があります。
それぞれ説明します。
一般的にデューデリジェンスは、買い手側が売り手企業の現状や価値、リスクを把握することを目的として行います。
一方で、セルサイドデューデリジェンスは、売り手が自社の売却価値を最大化し、M&Aを円滑に進めることを目的として行います。
費用はかかるものの、売り手企業としては専門家の調査を受けることで自社の課題を把握し、今後の経営戦略に活かせるメリットがあります。
ビジネスデューデリジェンスは売り手の事業内容や市場環境を調査し、将来性やシナジー効果、リスクの分析を行います。
売り手企業の将来的な収益性に関する調査は、M&A後の事業戦略や計画の立案・修正にも用いられます。
また、売り手企業の内部・外部環境について精査して得られる情報は、想定しているバリュエーションが妥当であるかを検討する上でも重要です。
M&Aにおける企業価値評価(バリュエーション)の算定方法について詳しくは、事業譲渡・株式譲渡の価値算定方法とは?価格に影響する要素も解説をご覧ください。
財務デューデリジェンスは、売り手企業の財務状況や経営成績、資金繰りを詳しく調査します。
貸借対照表・損益計算書・キャッシュフローといった資料の他、過去の税務調査や申告内容、簿外債務の有無に至るまで、細かくチェックします。
財務デューデリジェンスは、M&A後の事業計画の信頼性を高め、キャッシュフローを正確に予測するために重要な工程です。
税務デューデリジェンスは、売り手企業が適正に納税を行っているかを調査し、将来的な税務リスクを把握します。
具体的には、税務申告書や税務調査に関連する資料を調査・分析し、追徴課税の有無や、繰越欠損金の発生状況などを確認します。
税務の申告漏れや納税の誤りがあった場合、買い手が支払義務を負うことになるため、税務デューデリジェンスを実施し、事前に税務リスクを把握しておくことが重要です。
リスクの大きさによっては、「リスクを負ってでも買収するか」「リスクを回避・軽減するM&Aスキームを検討するか」といった判断が必要になるでしょう。
法務デューデリジェンスは、売り手が抱える法的リスクを調査し、買収に影響を与える問題がないかを確認します。
具体的には、雇用契約や労働条件の問題、訴訟や法的トラブル、特許や商標などの権利関係といった、法的あるいは労務的なリスクの有無を精査します。
とくに許認可については、引き継がれなければM&A後の事業継続が困難になるため、重点的に調査することが大切です。
人事デューデリジェンスは、売り手の組織・人材面でのコストやリスクを調査します。
M&A後、企業文化の違いによる摩擦や経営方針の変化により従業員のモチベーションが低下すると、当初見込んでいた収益を得られない可能性があります。
人事デューデリジェンスを行うことは、M&A後の混乱を防ぎ、シナジー効果を最大化するために重要です。
ITデューデリジェンスは、売り手のITシステムを精査し、統合時にかかるコストやリスクを評価します。
近年で、IT活用は重要な位置を占めており、ITシステムの統合に問題があると、M&A後の業務効率が低下するリスクも高まります。
ITデューデリジェンスによってシステム統合の課題とコストを予測することで、リスクを事前に把握し、統合に向けた計画が立てやすくなります。
環境デューデリジェンスは、売り手が研究施設や工場などを所有している場合に、土壌汚染・排気・排水・大気汚染などの環境リスクを調査するプロセスです。
環境汚染が判明した場合、買い手側が原状回復や対策工事にかかる費用を負担することになるため、事前に環境問題へのリスクを把握することは非常に重要です。
調査結果次第では、M&Aスキームの変更や価格交渉が必要になるでしょう。
M&A・事業承継において、一般的にデューデリジェンスは以下のような流れで進められます。
それぞれ説明します。
デューデリジェンスを実施するにあたり、調査する範囲や期間、専門家への外部委託の有無、予算といった基本的な方針を決定します。
デューデリジェンスを成功させるためには、自社のケースに合わせて、重点的に調査する項目やスケジュールを適切に設定することが大切です。
調査項目が決まったら、必要な資料を整理し、売り手企業へ資料の開示を求めます。
買い手企業から資料リストを受け取ったら、売り手企業は期日までに必要資料を用意して提出します。
資料には財務諸表や従業員の個人情報など売り手企業の機密事項も含まれるため、デューデリジェンスの際は秘密保持契約を結びます。
売り手企業から提出された資料を受け取った後、買い手企業は内容を確認・分析し、売り手の状況やリスクを洗い出します。
分析を進める中でさらに情報が必要になった場合は、売り手企業に追加で資料を請求します。
マネジメントインタビューでは、売り手側の担当者や役員などにヒアリングを行います。
資料を分析する中で生じた疑問点や不明点、書面では判断が難しい項目について直接質問し、情報を補完します。
デューデリジェンスの際は、売り手企業の実状を把握するために、現地に赴いて確認する場合もあります。
取引の対象に工場やホテル・旅館、商業施設といった不動産関係が含まれる場合はとくに、外観や建物の状態、周辺環境などを把握するために現地確認は重要です。
専門家からデューデリジェンスの報告を受けたら、買い手企業は内容を確認し、今後の方針を判断します。
仮に問題が発覚した場合は、価格や条件の調整が行われ、場合によってはM&Aの中止することも視野に入れて方向性を検討します。
問題やリスクがない、または許容範囲内であれば、契約書の締結に向けた話し合いが進められます。
デューデリジェンスの費用は、基本的に買い手企業が負担します。
かかる費用は対象となる企業や事業の規模、内容によって大きく異なり、一律の費用相場はありません。
また、依頼する専門家のレベルや経験によっても大きく異なりますが、おおよその費用目安は以下のとおりです。
企業の規模 | 費用の目安 |
---|---|
中小企業 | 数十万~数百万円ほど |
大企業・規模の大きい事業・海外の会社 | 数百万円~数千万円ほど |
例えば、法務デューデリジェンスを弁護士に依頼する場合、1時間当たり2万〜5万円として1日あたり7〜8時間調査を行うと想定すると、1日当たりの費用は15万〜40万円です。報告書の作成に数日かかる場合、50万〜100万円を超えるような金額になります。
また、公認会計士や税理士に財務・税務デューデリジェンスを依頼する場合、1日当たり2万〜5万円程で、総額で50万〜100万円を超える費用がかかると考えられます。
法務・財務・税務デューデリジェンスを行った場合、100万〜200万円以上の費用が必要であり、状況に応じて他のデューデリジェンスも実施するのであればさらに高額な費用がかかると考えられます。
M&A・事業承継にかかる手数料や費用について詳しくは、相談は無料!?M&A・事業承継にかかる手数料や費用は?コラムもご参考ください。
デューデリジェンスを実施する際、売り手、買い手にはそれぞれ注意すべき点があります。
ここでは、売り手、買い手それぞれの注意点を解説します。
売り手側の注意点は、おもに以下の3つです。
それぞれ説明します。
売り手側で把握しているリスクがある場合は、隠さずに伝えておくことが大切です。
リスクを隠ぺいしていたことが後から露見すると、最悪の場合、M&Aが中止になる恐れがあります。
M&Aを成功させるために、買い手との信頼関係は非常に重要です。リスクはあらかじめ伝えた上で、デューデリジェンスにも誠実に対応するようにしましょう。
デューデリジェンスの際、売り手企業はさまざまな情報の提供を求められますが、中にはマイナスな情報や、あまり伝えなくない情報も含まれるでしょう。
しかし、情報を隠ぺいしたり調査に対して非協力的であったりすると買い手から不信感を持たれ、M&Aの成立自体が難しくなる恐れがあります。
デューデリジェンスを円滑に行うために、売り手企業の協力は必要不可欠であり、調査には積極的に協力することが大切です。
デューデリジェンスの段階では、まだ、M&Aが確実に成立するとは決まっていません。
そのため、売り手企業は自社の情報を提供する際、開示する範囲には細心の注意を払う必要があります。
交渉が決裂するケースも想定し、とくに、秘密保持契約が規定された契約や個人情報の取扱には慎重であるべきでしょう。
どのような情報をどこまで開示するかは、十分に検討した上で、慎重に判断することが大切です。
買い手側の注意点は、おもに以下の3つです。
それぞれ説明します。
買い手企業はM&Aの規模や予算を考慮して、適切な範囲で調査を行うことが大切です。
調査範囲を必要以上に広げると、想定以上にコストや時間がかかる可能性があります。
一方で、コストや時間を削減するために調査範囲を狭めたり、外部専門家へ依頼せずに社内で済ませたりすると、調査が不十分になり重大なリスクを見逃す恐れがあります。
そのため、デューデリジェンスを実施する際は、企業の規模やM&Aの目的、統合後の経営戦略も考慮し、適切な範囲で実施することが重要です。
デューデリジェンスを成功させるためには、あらかじめチェックリストを準備し、計画的に実施することが大切です。
調査範囲は多岐に渡るため、無計画に調査を進めると時間や費用ばかりがかかり、十分な成果が出ない可能性があります。
事前にチェックリストを作成し、調査すべき項目に優先順位をつけることで、必要十分な調査が可能になります。
デューデリジェンスでは、買い手企業は秘密保持契約を締結した上で、売り手企業の財務状況や人事制度など経営に関わる重要な情報を入手します。
万が一、情報を漏洩した場合にはM&Aが白紙になるだけでなく、損害賠償を請求されるリスクもあります。
入手した機密情報は、決して外部に流出することがないよう、情報管理の徹底は必要不可欠です。
今回は、M&Aや事業承継におけるデューデリジェンスについて、目的や費用、実施する際の注意点などを解説しました。
デューデリジェンスが適切に行われないと、M&A後にトラブルが生じたり、予期しない損害を受けたりする恐れがあります。
また、PMIを円滑に進め、M&Aを成功させるためにもデューデリジェンスは欠かせないプロセスです。
M&A・事業承継の際はデューデリジェンスへの理解を深め、自社に必要な範囲で適切に調査を実施しましょう。
なお、弊社のシェアモルM&Aは、
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また、シェアモルM&AのコラムにはM&A・事業承継関連の記事も掲載しておりますので、あわせてご覧ください。
シェアモルM&Aでは無料相談を実施しておりますので、こちらよりお気軽にお問い合わせください。
最終更新日: 2025/2/4
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齋藤 康輔シェアモル株式会社 代表取締役
東京大学教養学部基礎科学科在学中に、半導体(シリコン)のシミュレーションを専攻する傍ら、人材会社にてインターン。
インターン中に人材会社向け業務システムを開発し、 大学卒業後の1年間、上記人材会社にて勤務後、 共同出資で2007年3月に上記システム「マッチングッド」を販売する会社、 マッチングッド株式会社を設立。
12年の経営の後、2019年1月に東証プライム上場企業の株式会社じげんに株式譲渡。
2019年9月、売却資金を元手に、シェアモル株式会社を設立。
自身のM&Aの経験から、買い主と売り主の間での情報の非対称性や、 M&A仲介会社が出している付加価値に疑問を感じ、 自身が思わず依頼したくなるような、 付加価値の高いM&A仲介サービスを提供したいと強く思い、 IT技術をフル活用したM&A仲介事業「シェアモルM&A」をスタート。
現在はシェアモルM&Aと、SEOに強い文章をAIが作成する「トランスコープ」を展開中。