最終更新日: 2025/1/13
「不動産M&Aは通常の売買と何が違う?」
「不動産M&Aはどのようなメリットがある?」
不動産M&Aを検討中の方は、上記のような疑問があるのではないでしょうか。
本記事では、不動産売買との違いや、手法について解説します。
また、譲渡側と譲受側のメリット・デメリットや過去の事例も紹介するため、ぜひ参考にしてください。
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まずは不動産M&Aについて、下記の内容に沿って解説します。
不動産M&Aの基本をおさえておきましょう。
不動産M&Aとは、企業の保有している不動産だけでなく、株式や事業そのものを買収することです。
民法86条において、不動産は「土地及びその定着物」と定義されており、建物や設備も含まれます。
経済産業省が株式会社KPMG FASに委託した調査によると、国内では不動産M&Aの実施件数は、他業界よりも少ない傾向があります。
なお、不動産M&Aを実施する主な業界は、下記のとおりです。
譲受側は不動産だけでなく、関連事業や従業員・ノウハウも引き継ぐことができます。
不動産の取得以上に、事業全体の運営や成長に向けたシナジー効果も期待されます。
不動産売買は、建物や土地のみを売買する取引です。
売買契約が締結され、物件の所有権が買い手に移った時点で、不動産売買の関係は基本的に終了します。
また、取引後は買い手が物件の運用・管理を行います。
一方不動産M&Aは、企業をまるごと取得する点が大きな違いです。
企業の運営資産や負債・従業員も一括で引き継ぐことが多く、経営や事業運営に直接関与するため、より複雑な取引となります。
通常の不動産売買で発生する不動産取得税・消費税が免除されるため、節税効果を期待できる点もメリットです。
不動産の取得だけでなく、事業運営やシナジー効果を求めるならば、不動産M&Aが適しています。
ここからは、不動産M&Aにおけるメリット・デメリットについて解説します。
譲渡側のメリットは、下記の3つです。
順番に見ていきましょう。
不動産M&Aには、大きな節税効果があります。
株式譲渡の場合、不動産取得税や登録免許税などの税負担を抑えられる可能性が高く、経営者にとって大きなメリットです。
たとえば、不動産のみを売却すると、譲渡益に対して35%の法人税などがかかります。
さらに不動産売買後に会社を清算すると、残った財産を配当する際は、株主が最大55%の所得税を支払わなければなりません。
一方、不動産M&Aであれば、株式の売却益に対して約20%しか税金がかかりません。
税負担をおさえられれば、手元に残る資金を増やすことも可能です。
節税効果によって資金効率を高めることもでき、事業への再投資や新たなビジネスを作るきっかけとなります。
不動産M&Aで会社を売却すれば、廃業コストを削減できます。
東京商工リサーチによると、2023年の不動産業における休廃業・解散件数は3,916件です。
廃業すると、下記のようなコストがかかります。
M&Aによって事業が引き継がれると、事業自体が譲受企業に引き継がれるため、資産処分や清算のための手間が省けます。
さらに、設備や不動産物件もまるごと譲受企業に引き渡されるため、手続きや費用の負担を最小限に抑えることが可能です。
M&Aを実施すれば、譲渡側は事業をスムーズに終えられるだけでなく、余分なコストを回避できます。
不動産M&Aでは、譲受企業に事業を引き継ぐため、従業員の雇用を維持しやすいメリットがあります。
中小PMIガイドラインによれば、従業員の雇用維持を重視すると答えた譲渡企業は82.7%です。
長年働いてきた従業員の雇用維持は、経営者にとって重要な問題です。
廃業する場合、解雇せざるを得ないケースが多く、解雇に伴う経営者の心理的負担も大きくなります。
不動産M&Aならば、従業員はこれまで通りの職場で働き続けることができ、慣れ親しんだ環境での業務が保証されます。
従業員にとっては、解雇による手続きや転職活動などが発生せず、生活への影響も少ないです。
従業員の安心感やモチベーションを保つうえで、雇用の維持は非常に重要となります。
譲渡側のデメリットは、下記の4つです。
不動産M&Aのマイナス要素も把握しておきましょう。
不動産M&Aは複雑な手続きによって、取引完了までに時間がかかることも多いです。
不動産売買の場合は、1〜3ヶ月程度が一般的で、下記のようなステップで進められます。
一方、不動産M&Aは6ヶ月〜1年程度かかります。
M&Aの流れは下記のとおりです。
通常の売買と比べて多くのステップがあるため、譲渡側の負担も大きくなります。
不動産M&Aをスムーズに進めるには、M&Aアドバイザーや弁護士・税理士など、専門家のサポートが欠かせません。
しかし、専門家にサポートを依頼すると手数料や報酬が高額になり、売却で得られる最終的な収益が減る可能性もあります。
分野に特化した複数の専門家へ依頼するほど、費用負担が大きくなるのはデメリットです。
専門家の多くは、無料相談を実施している場合がほとんどであるため、相性や予算に見合うかを把握してから契約するのがおすすめです。
なお、M&Aの相談先については「無料で相談可能?M&A・事業承継のオススメ相談先や相談方法とは?」をあわせてご参照ください。
不動産M&Aでは、特定の企業や業種に対する譲渡先を探す必要があり、買い手がすぐに見つからない可能性もあります。
たとえば、ニッチ市場で展開している企業や地域に限定された企業の場合、買い手探しが難航するでしょう。
譲渡先の選択肢は少ないため、交渉が進みにくい、あるいは取引条件が不利になる場合も考えられます。
また、業界全体が低調な時期は買収に慎重な姿勢を取る企業も増えるため、取引成立までに長い時間がかかることもあります。
十分な市場調査を行い、専門家のサポートを受けながら、買い手を効率よく見つける戦略が必要です。
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不動産M&Aによる節税効果は、企業の財務状況や取引条件により異なります。
場合によっては、期待したほどの節税メリットが得られないこともあるでしょう。
企業の財務状況や税務上の問題が複雑な場合、適切な税務対策ができず、税金の負担が大きくなる可能性も考えられます。
準備不足だと予想外の税金を負担するリスクがあるため、節税効果を最大限に引き出すには、事前の計画と対策が必要です。
M&Aで節税効果を高めるには、専門家と十分な相談を行い、企業の財務状態や税務対策を確認しておきましょう。
譲受側のメリットは、下記の3つです。
1つずつ解説します。
不動産M&Aでは、不動産を割安な価格で取得できる可能性があります。
不動産売買では物件の市場価値で取引されますが、M&Aでは企業全体の価値が評価対象です。
企業の財務状況や業績、負債などを含めた評価が行われます。
経営が厳しい企業や財務的に弱い企業の不動産は、市場価格よりも低い価格で取得できる場合があり、注意が必要です。
売却側が経営の合理化や事業整理を目的としている場合、不動産を売却することで迅速に資金を回収したいニーズが強くなり、買い手にとって有利な条件で取引が進む場合もあります。
一般の市場には出回らない不動産を手に入れることができるのも、不動産M&Aの魅力です。
立地の良い商業物件や希少価値の高い物件は市場に出されることが少なく、直接取引する機会が非常に限られています。
不動産M&Aを活用して、市場価値の高い不動産を保有している企業ごと買収することで、競争の少ない環境で物件を取得できます。
特定の立地や物件が含まれる企業を買収することは、不動産投資や事業拡大において非常に有利です。
不動産取得にかかるコストを抑えられる点は大きなメリットです。
不動産M&Aでは、不動産取得税や消費税など、通常の不動産購入にかかるコストを抑えることができます。
M&Aは不動産そのものを直接購入するわけではなく、企業の所有権を引き継ぐ形になるため、不動産取得税が課されません。
また、株式譲渡の場合は消費税も発生しないため、最終的なコストを大幅に削減できるメリットがあります。
M&Aを通じて不動産を取得すれば、通常の不動産購入よりも資金を効率的に使えるため、企業にとって経済的に有利です。
特に成長戦略として多くの不動産を取得する際、M&Aによるコスト削減効果が重要になります。
譲受側のデメリットは、下記の2つです。
デメリットを把握して、必要な対策を立てておきましょう。
不動産M&Aのプロセスは通常の不動産取引に比べて複雑です。
M&Aにおいてはデューデリジェンスが重要であり、財務・契約状況の確認や法的リスクの評価などが行われます。
企業全体の資産や負債、従業員の雇用状況なども調査されるため、多くの時間と手間がかかる点はデメリットです。
また、M&Aでは契約交渉の過程も長引くことがあり、譲渡価格や条件・引き継ぎ内容の詳細について徹底的に話し合う必要があります。
複数の利害関係者が関わる場合、交渉が難航し、さらにプロセスが長引くことも考えられます。
不動産売買よりも時間がかかるため、即時に物件を取得したい場合はデメリットです。
不動産M&Aは企業全体を買収するため、譲渡企業が抱える負債や法的リスクも引き継ぐ可能性があります。
中小PMIガイドライン「譲受側等の心配事項」によれば、譲渡側の情報が不足していて価値評価の適正性に不安がある、と心配する譲受企業は2割以上います。
たとえば、考えられるリスクは以下のとおりです。
リスクを見過ごしてしまうと、買収後に予期せぬコストやトラブルに直面する可能性があるため、全体的なリスク評価が不可欠です。
M&Aにおけるメリット・デメリットは、「【2025年版】M&A・事業承継のメリット・デメリットを徹底解説」とあわせてご参照ください。
不動産M&Aの主な手法は、下記の2つです。
具体的に見ていきましょう。
株式譲渡は、対象企業の株式を取得して、会社全体を譲り受ける手法です。
不動産だけでなく、譲渡企業が持つすべての資産や負債、従業員を含めた事業全体を引き継ぎます。
株式譲渡は、節税のメリットが多く、不動産取得税や消費税を削減できる点が特徴です。
M&Aを行う際、譲受側は譲渡側の不動産以外をどうするか検討する必要があります。
もし事業を継続する価値がないと判断した場合、目的の不動産を自社に移したあとで、譲渡企業を解散することになるでしょう。
また、事前に譲渡側の責任で、資産の一部や負債を処分するよう決める場合もあります。
一方で、経営統合後も譲渡企業を存続させる価値があると判断した場合、不動産の管理・運営を行う子会社として残します。
会社分割は、企業を一部の事業に分けて、分割された会社を譲渡する方法です。
特定の不動産事業を切り離して買収する場合などに適しており、既存企業の一部を買収することで、柔軟に取引を進められます。
会社分割のメリットは、買い手が必要な事業資産や不動産だけを取得できる点です。
企業全体を買収するのではなく、譲受側は自社のニーズに合わせて事業を取得し、取引を進められます。
また、譲渡側にとっても不要な事業を切り離して売却できるため、効率的な企業再編や資産整理が可能です。
会社分割による不動産M&Aの場合、組織再編税制の特例措置を受けられるメリットもあります。
ただし、場合によっては組織再編税制の特例措置を受けられなくなるため、専門家のサポートを受けながら自社に適した選択をしましょう。
不動産M&Aにおける税金について、下記の手法別に解説します。
実際に発生する税金はそれぞれのため、専門家に相談しましょう。
不動産M&Aによって譲渡側の株主が譲受企業に株式を譲渡した場合、株式の譲渡益に対して約20%の所得税等が課税されます。
不動産売却のみの場合、譲渡側には譲渡益に対して法人税や所得税が課せられます。
たとえば不動産売買で譲渡益に対し35%の税金がかかるAと、不動産M&Aで株式売却益に対し税金が20%かかるBの場合、不動産売却価格5,000万円とすると税負担の差は下記のとおりです。
上記のように、不動産M&Aを利用した方が税務上有利です。
高額な不動産を保有する企業ほど、M&Aによる株式譲渡が大きな節税効果をもたらすとわかります。
会社分割による不動産M&Aの場合、税務上の取り扱いは少し異なるため注意が必要です。
会社分割時は、新設分割時に譲渡側・譲受側は下記の税金が課せられます。
条件を満たせば組織再編税制の特例措置を適用でき、譲渡側は法人税・所得税が、譲受側は不動産取得税が非課税です。
ただし短期間しか所有していない土地の売却と見なされたり、新設分割が租税回避と判断されてしまうと、不動産M&Aが税制上で難しくなることもあります。
不動産M&Aには専門的な知識が必要であるため、専門家や業者に相談しながら進めるのが望ましいです。
ここからは、過去に実施された不動産M&A5件の事例を紹介します。
不動産M&Aを検討中の方は、参考にしてください。
京成電鉄株式会社は、京成線や北総線を運営する鉄道事業者です。
2018年4月に、中台不動産の全株式を譲受けて子会社化しました。
詳細は以下のとおりです。
京成電鉄の不動産事業を通じて、地域社会の発展にも積極的に寄与し、さらなる企業価値の向上を目指しています。
参照:京成電鉄株式会社
株式会社ビーロットは、不動産の投資・開発・コンサルティング事業を行う企業です。
2019年3月に、株式会社横浜富士霊廟の株式を取得し、持分法適用関連会社にしました。
詳細は以下のとおりです。
ビーロットは横浜富士霊廟の運営ノウハウを活用し、不動産再生事業と連携して新たな価値創出を予定しています。
参照:株式会社ビーロット
トーセイ株式会社は、6事業を展開する総合不動産会社です。
2018年3月に、神奈川県川崎市に所在する不動産保有会社を子会社化し、4物件の不動産を取得しました。
詳細は以下のとおりです。
トーセイは不動産M&Aによる事業承継ニーズに対応し、さらなる成長を目指しています。
参照:トーセイ株式会社
ハウスコム株式会社は、不動産賃貸仲介を行う企業です。
2020年12月に、株式会社宅都の株式を取得し、子会社化しました。
詳細は以下のとおりです。
ハウスコムは、宅都の23店舗を含む関西圏での不動産事業基盤を強化し、さらなる成長を目指します。
参照:ハウスコム株式会社
株式会社ハウスドゥは、不動産売買仲介「HOUSE DO」などを展開する企業です。
2019年7月に、株式会社小山建設グループの株式を取得し、連結子会社化しました。
詳細は以下のとおりです。
ハウスドゥは親和性が高い企業とM&Aを実施して、グループ全体の競争力強化を目指す方針です。
参照:株式会社ハウスドゥ
不動産M&Aは通常の売買と異なり、不動産を保有する企業ごと譲渡もしくは譲り受けます。
通常の売買と比べて割安価格で不動産を購入できたり、節税できたりするなどのメリットがあります。
しかし、手続きや審査などに時間と手間がかかりやすい点はデメリットです。
不動産M&Aのメリットを最大限に受けるなら、専門家によるサポートを受けるのがおすすめです。
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また、下記のようなM&A関連のお役立ち情報も掲載しております。
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最終更新日: 2025/1/13
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齋藤 康輔シェアモル株式会社 代表取締役
東京大学教養学部基礎科学科在学中に、半導体(シリコン)のシミュレーションを専攻する傍ら、人材会社にてインターン。
インターン中に人材会社向け業務システムを開発し、 大学卒業後の1年間、上記人材会社にて勤務後、 共同出資で2007年3月に上記システム「マッチングッド」を販売する会社、 マッチングッド株式会社を設立。
12年の経営の後、2019年1月に東証プライム上場企業の株式会社じげんに株式譲渡。
2019年9月、売却資金を元手に、シェアモル株式会社を設立。
自身のM&Aの経験から、買い主と売り主の間での情報の非対称性や、 M&A仲介会社が出している付加価値に疑問を感じ、 自身が思わず依頼したくなるような、 付加価値の高いM&A仲介サービスを提供したいと強く思い、 IT技術をフル活用したM&A仲介事業「シェアモルM&A」をスタート。
現在はシェアモルM&Aと、SEOに強い文章をAIが作成する「トランスコープ」を展開中。