最終更新日: 2025/1/13
「歯科業界ではそもそもM&Aできる?」
「歯科業界におけるM&A・事業承継の動向や実態について知りたい」
上記のようにお考えではありませんか?
本記事では、歯科業界のM&A・事業承継の最新動向や実態について解説します。
M&Aに不安がある方に向けて、歯科業界ならではのメリット・デメリットも紹介するため、ぜひ参考にしてください。
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歯科業界は、歯や口腔内の健康管理を専門とする医療分野です。
診察や治療に使用する機器や材料も必要であり、歯科材料のメーカーも歯科業界に含まれます。
「令和5年度歯科医療費(電算処理分)の動向」によると、歯科医療費は約3.3兆円にのぼります。
また厚生労働省「医療施設動態調査」によれば、令和6年2月末時点で歯科診療所の施設数は66,843件で、減少傾向です。
厚生労働省「令和4年歯科疾患実態調査結果の概要」によれば、5歳〜44歳のう歯(虫歯)を持つ人の割合も減少しています。
以前は「虫歯や痛みがあるから歯医者さんへ行こう」という治療目的の受診が主でした。
近年では「虫歯や歯周病がないか歯医者さんにみてもらおう」と予防目的で受診する患者が増えています。
歯や口腔の健康に意識を向ける人は増えつつある、といえるでしょう。
口腔と全身の健康状態は密接に関連しており、歯科業界は健康寿命を延ばすために、重要な役割を担っているといえます。
歯科業界におけるM&A・事業承継の実態について3点解説します。
最新情報と併せて見ていきましょう。
歯科業界では、人口減少や虫歯を持つ患者も減っていることから、競争が激化しています。
「JFAコンビニエンスストア統計調査月報」によれば、2024年9月時点のコンビニエンスストア店舗数は55,709店であり、歯科診療所の方が多いです。
近隣に歯科診療所があることによって、限られたエリアで患者獲得のために対策しなければなりません。
かつては虫歯治療を主に実施していましたが、虫歯治療では収益を上げにくくなっています。
そのため、下記のような特定分野に注力する歯科も増加しています。
分野 | 内容 |
---|---|
予防歯科 |
|
審美歯科 |
|
矯正歯科 |
|
訪問歯科 |
|
ドライマウス・口臭治療 |
|
「歯の見た目をきれいにしたい!」「予防に力を入れたい」と意識する人は増えていると考えられ、患者のニーズを満たせる歯科は需要があるでしょう。
厚生労働省「令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によれば、歯科医師の平均年齢は53.0歳と上昇傾向です。
個人経営の歯科診療所も多く、親族内承継が一般的ですが、後継者がいなければ廃院に至るケースもあります。
歯科医師としての経験を積み上げ、患者からの信頼を獲得できているのは強みです。
しかし高齢になるにつれて、見づらい箇所の診察や細かい作業が必要な治療もあり、視力や体力に不安を感じる場面も増えるでしょう。
患者に適切な診察や治療を提供できなくなる可能性があれば、引退を視野に入れなければなりません。
歯科診療所がなくなると地域医療に影響を及ぼすため、廃院ではなくM&Aを行い事業承継をするケースが注目されています。
歯科業界は歯科診療所だけでなく、歯科医療機器メーカーによるM&Aも実施されています。
メーカー側も、患者のニーズに対応できる製品の開発を求められているためです。
歯列矯正やホワイトニング効果の高い装置・グッズなどを開発して、技術力やサービスを強化するメーカーも増えています。
歯科医院の診療メニューが多様化すれば、メーカーも既存事業に加えてサービスを拡大する必要があります。
M&Aによって双方のノウハウを吸収すれば、事業拡大や体制強化を実現できるでしょう。
事業拡大によって供給・販売ルートも拡大でき、スケールメリットを活用した競争力強化も可能です。
譲渡側のメリットは、以下の2点です。
メリットを把握すると、M&Aを前向きに検討できるでしょう。
自分の歯科医院を新しいオーナーに譲渡したあとも、希望すれば勤務医として関わることが可能です。
個人経営の歯科医院で院長にもしものことがあった場合、家族や従業員が対応に追われてしまい、負担が重くなるリスクも考えられます。
またM&Aを早期から検討している歯科医師にとって、譲渡とともに引退すると「収入が途絶えてしまうのは困る…」と思う方もいるでしょう。
中には、譲り受けた歯科医院の勤務医を確保したい企業もあります。
勤務医として関われば、患者の診察や治療を継続できるため、安定した運営も可能です。
まだ引退しないのであれば、はじめに勤務医として関わりたい旨を伝えて、了承してくれる相手と話し合いを進めましょう。
歯科医院によっては、売上増加や事業拡大のために分院を作るところもあります。
しかし、分院の分院長や勤務医を雇用したものの、相性や方針が合わず「分院の経営が上手くいかない…」と悩む院長もいるでしょう。
分院を閉院すれば、各処分費用や手続きに1,000万円近くのコストが発生します。
M&Aによって分院を売却できれば、経営の負担が軽減でき、本院の運営に集中できます。
閉院を選択するよりもコストを抑えられ、分院に通う患者の健康を守る役割も継続可能です。
複数の診療所を運営している方で、分院の経営に悩む歯科医師は、M&Aを検討してみましょう。
譲受側のメリットは、以下のとおりです。
順番にみていきましょう。
M&Aで既存の歯科医院を承継すれば、低コストで開業できる点は大きなメリットです。
初めて新規開業する歯科医師の中には「自分ですべて新しくそろえたい」と希望する方もいるでしょう。
しかし新規開業すると最低でも1億円近くかかるところが、M&Aで引き継ぐことによって、約3分の1程度に抑えられます。
歯科で使用する機器は種類が多く、CTスキャナーやレセプトコンピューターなどの大型機器は高額です。
機器だけでなく、従業員の採用コストや患者確保のコストも抑えられます。
既存の従業員を引き継ぐことができれば、教育や指導の手間を省けます。
また、既存の患者もいるためゼロから新規開業するよりも、マーケティングやホームページ制作などのコストも削減可能です。
収益もある程度は見込めるため、投資額の回収も早いでしょう。
M&Aで歯科医院を引き継ぐと、信頼できる機器や材料業者のルートを確保できる点も、大きなメリットです。
安定した業者と取引できれば、仕入れコスト削減や業者探しの手間を省けます。
新規開業する場合、業者ルートの確保には3〜6ヶ月程度かかることが一般的です。
また、複数社から見積もりを取り、歯科医院の治療方針や強みに合う業者を選定しなければなりません。
すでに業者のルートが確保できていれば、コストの見直しや交渉を優位に行うこともできます。
業者探しの手間が省ける分、診察や運営に集中する時間に充てられるでしょう。
歯科医院の経営を成功させる要因の1つとして、立地が大きく影響します。
腕に自信のある歯科医師であっても「場所が分かりにくい…」「通いにくい…」と思わせる立地では、経営の難易度が上がります。
立地の良い歯科医院は、駅の近くや商業施設にある歯科医院は集客を見込めるだけでなく、通勤の利便性が良い点から歯科衛生士・歯科助手の採用にも困りにくいです。
地方にある歯科医院の場合、駐車場を確保できるかどうかは患者の通いやすさにも関係します。
歯科医院の患者は、60代以上や子どもの虫歯予防・歯列矯正で通う方が多いです。
そのため2階以上にある歯科医院の場合、高齢者や車いす・ベビーカーを使う患者にとって、エレベーターの有無も重要です。
立地や周辺環境の良い歯科医院を譲り受けることができれば、経営も安定しやすいでしょう。
M&Aのデメリットについて、譲渡側・譲受側に共通している2点を解説します。
良い面だけでなく、リスクもあることを把握しておきましょう。
個人経営の歯科医院では、院長の属人性が強い傾向にあります。
院長の治療方針に納得していたり、人柄を好んでいたりして「この先生だから通っている!」という患者もいるでしょう。
そのため、交代による不安・不信感から患者が離れてしまう可能性もあります。
患者が離れてしまうと、譲渡側は買い手企業が見つかりにくくなるおそれもあり、譲受側は想定していた収益を見込めなくなるのはデメリットです。
M&A後に治療方針やサービスを変更すると、患者離れのリスクが高まりやすいため、診療スタイルの一貫性を保つことが望ましいです。
もし方針を変更する場合は、スタッフを通じて患者への丁寧な説明を行いましょう。
また、引き継ぎ期間を設けて一定期間は元院長が携わることも効果的です。
譲り受けた歯科医院の運営歴が長い場合、機器が老朽化している可能性もあります。
歯科機器は10年程度で性能が劣化するため、買い替えや修理が必要です。
買い換えの費用がかかると、譲渡価格の引き下げによる譲渡益の減少や、黒字化までの期間も想定より延長するデメリットがあります。
デューデリジェンスを実施する際には、機器の状態やメンテナンス履歴などを確認し、設備投資の必要性を判断しましょう。
事前に、買い替えコストを計画に入れておくのもおすすめです。
なお、一般的なM&Aのメリット・デメリットや流れについて知りたい方は、下記のコラムもご参照ください。
歯科業界でM&Aを実施するのであれば、以下の4点が重要です。
M&Aのポイントを抑えておきましょう。
歯科医院は、保険診療のみでは収益を上げにくくなっています。
保険診療割合が多ければ、患者にとっては自己負担額を抑えられますが、収益性の低さがデメリットです。
自費診療には保険診療のような制限やルールがないため、患者のニーズに合わせた質の高いサービスを提供できます。
たとえば、以下のような自費診療メニューがあげられます。
メニュー | 詳細 |
---|---|
審美歯科治療 |
|
補綴治療 |
|
矯正治療 |
|
義歯 |
|
自費診療の割合が高くなるほど収益性も向上するため、M&Aにおいて効果的でしょう。
譲渡側の歯科医院には自費診療メニューがあるのか、自費診療を伸ばす余地はあるのかなどを見極めることが重要です。
新院長の経営適性や診療方針は、医院の成功を左右する重要な要素です。
譲渡側の院長が引退する場合、患者が一定数離れてしまう可能性があります。
地域に密着した小規模の歯科医院では、院長の属人性が高くM&A後の収益に大きく影響するでしょう。
新たに院長となる人物が、既存患者の理解を得られて、引き継ぐことができるかどうかの適性を見極めなければなりません。
既存患者への丁寧な説明を行い、理解を得る必要があります。
可能であれば、引き継ぎのサポートとして、元院長に一定期間携わってもらう方法も患者離れ防止に効果的です。
また元院長が引退しないのであれば、勤務医として引き続き診察や治療に従事してもらう方法もあります。
新しい院長に変わっても、元院長との連携によって、患者からの理解と信頼を徐々に得られるでしょう。
歯科業界のM&Aは、周辺環境が重視されます。
集客が見込める立地にあるか、駐車場の有無などの患者にとって通いやすい条件がそろっていると、M&Aの成功につながります。
また、近隣に歯科医院が複数ある地域の場合は、競争が激化して患者の獲得も難しいでしょう。
立地だけでなく、地域の年齢層や経済状況を把握し、予防歯科や審美歯科のニーズがあるかなどを調査する必要もあります。
可能であれば、実際に歯科医院へ行ってみるのもおすすめです。
地図上では分からない、実際の周辺環境や交通量、人通りなどを把握できます。
M&Aの検討段階で、ターゲットとする患者層のニーズに対応できるかを確認しておけば、事業の成功につなげられるでしょう。
近隣の歯科医院と差別化できる要素があるかどうかで、M&Aの成功も左右されます。
たとえば、専門分野がある・訪問診療を実施しているなどの工夫は、大きな強みです。
また、3Dプリンター・AI診断システムなどの最新技術を導入していれば、患者にとって魅力的でM&A後の経営も安定しやすくなります。
歯科業界でM&Aを実施する際は、ポイントを確認することでリスクを軽減でき、円滑な移行を実現できます。
M&Aを進めるには、適切な相手先とのマッチングや法務・税務の手続きなど、専門知識が必要です。
歯科医院の運営をしながらM&Aを成功させるには、専門家に相談して適切なサポートを受けることをおすすめします。
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歯科業界の売却相場は、規模や収益性・地域性などの要因を総合的に評価する必要があります。
また、「時価純資産+直近の営業利益×2〜5年程度」の年倍法で計算する手法もあります。
安定した患者基盤があり、自費診療割合の高い歯科医院は、良い評価を受けられるでしょう。
地域によっても相場は異なり、都市部の歯科医院は売却価格が上昇しやすく、地方では駐車場の有無で買い手の見つかりやすさが変わります。
さらに設備や機器の状態や従業員を引き継ぎできるかどうかも、価格に影響を与える要素です。
価格算定方法の詳細は「事業譲渡・株式譲渡の価格算定方法とは?価格に影響する要素も解説」をご参照ください。
歯科業界で実施されたM&Aの事例を5件紹介します。
M&Aを検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
株式会社デンタスは、歯科医療材料の開発や歯科技工所コンサルタント業などを行う企業です。
2021年6月、アイオニック株式会社の全株式を取得し、子会社化しました。
概要は下記のとおりです。
デンタスは歯科業界の競争力向上とともに、デジタル機器やオーラルケア市場への参入を通じた、企業価値向上を目的としています。
参照:アイオニック株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ
株式会社メディカルネットは、歯科医療情報ポータルサイト運営や歯科クリニック経営支援などを行う企業です。
2018年11月、株式会社オカムラの株式を100%取得し、子会社化しました。
概要は下記のとおりです。
メディカルネットは、M&Aで歯科医療市場での競争力強化を期待しています。
参照:株式会社オカムラの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ
山本貴金属地金株式会社(ヤマキン)は、貴金属地金売買を主に行い、歯科材料も取り扱う企業です。
2016年7月、パナソニック ヘルスケア株式会社(現PHC株式会社)の歯科事業を承継しました。
概要は下記のとおりです。
ヤマキンは、CAD/CAMの普及に向けた体制の充実も計画しています。
参照:パナソニック ヘルスケア株式会社との事業譲渡の合意について
日本ピストンリング株式会社は、主に自動車関連製品の製造・販売を行う企業です。
2014年10月末、石福金属興業株式会社のインプラント事業を承継しました。
概要は下記のとおりです。
日本ピストンリング側はインプラント事業を承継することで、事業拡大と発展を期待しています。
三井化学株式会社は、ライフ&ヘルスケア・ソリューション事業や、モビリティソリューション事業を展開する企業です。
2013年4月、ドイツにあるHeraeus Holding GmbH(ヘレウス)の歯科材料事業を承継しました。
概要は下記のとおりです。
三井化学が課題としていた、将来の成長に向けたグローバル展開を実現できます。
参照:ドイツHeraeus社の歯科材料事業の譲受に関するお知らせ
歯科業界は、歯科医師の高齢化や競争の激化が進んでおり、M&Aの件数も増加傾向です。
M&Aを実施すれば譲渡側は経営の負担を軽減でき、譲受側は低コストで開業できるメリットがあります。
しかし院長交代による患者離れや、老朽化で機器の買い替えが発生する可能性もある点は、注意が必要です。
歯科業界のM&Aを円滑に進めるには、自費診療の割合・周辺環境などを十分確認することや、専門家との連携が重要となります。
弊社のシェアモルM&Aは、
の4点で、他社様から選ばれております。
また、下記の業界に関するM&Aの最新情報も掲載中です。
歯科業界におけるM&Aの進め方や、マッチングを検討している経営者の方は、お気軽に無料相談をご活用ください。
最終更新日: 2025/1/13
ミーティング時に貴社とシナジーのあるクライアントの概要をお伝えいたします。
無料で事業価値の算定も可能でございますので、まずはお気軽にご相談いただけましたら幸いです。
齋藤 康輔シェアモル株式会社 代表取締役
東京大学教養学部基礎科学科在学中に、半導体(シリコン)のシミュレーションを専攻する傍ら、人材会社にてインターン。
インターン中に人材会社向け業務システムを開発し、 大学卒業後の1年間、上記人材会社にて勤務後、 共同出資で2007年3月に上記システム「マッチングッド」を販売する会社、 マッチングッド株式会社を設立。
12年の経営の後、2019年1月に東証プライム上場企業の株式会社じげんに株式譲渡。
2019年9月、売却資金を元手に、シェアモル株式会社を設立。
自身のM&Aの経験から、買い主と売り主の間での情報の非対称性や、 M&A仲介会社が出している付加価値に疑問を感じ、 自身が思わず依頼したくなるような、 付加価値の高いM&A仲介サービスを提供したいと強く思い、 IT技術をフル活用したM&A仲介事業「シェアモルM&A」をスタート。
現在はシェアモルM&Aと、SEOに強い文章をAIが作成する「トランスコープ」を展開中。