最終更新日: 2025/1/13
「外食・飲食業界のM&Aはどのように進める?」
「外食・飲食業界のM&Aに関する実態を知りたい」
外食産業のM&Aを検討している方の中には、上記のようなお悩みがあるのではないでしょうか?
本記事では、外食・飲食業界におけるM&Aの最新情報をお届けします。
M&Aをスムーズに進めたい外食産業経営者の方は、ぜひ参考にしてください。
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外食・飲食業界の概要について解説します。
業界の基本を抑えておきましょう。
外食・飲食業界は外食産業といわれ、1960年以降の高度経済成長とあわせて発展してきました。
公益財団法人「日本フードサービス協会」の外食産業市場規模推計によると、外食産業の市場規模は2年連続して前年を上回り、20.2%増加・24兆1,512億円です。
外食産業は、下記のように分類されます。
給食主体部門 | 営業給食 | 飲食店 |
---|---|---|
機内食等 | ||
宿泊施設 | ||
集団給食 | 学校 | |
事業所 | ||
病院 | ||
保育所給食 | ||
飲料主体部門 | 喫茶店・居酒屋等 | |
料亭・バー等 | ||
料理品小売業(弁当給食を除く) | 持ち帰り弁当店・惣菜店等 |
出典:日本フードサービス協会
外食・飲食業界は、全国チェーンを展開する大手企業から個人経営店など、規模や種類の幅広さが特徴です。
コロナ禍による営業制限があったときは、売上が大きく減少する時期もありました。
しかし、物価高騰の影響からメニュー単価を上げるところもあり、市場規模は持ち直しつつあります。
居抜きとは、これまで会社が使っていた店舗の調度品、設備・備品類を引き渡す手法です。
居抜きで開業すると、厨房設備や水回りの工事費用を抑えられて、初期投資が少ないメリットもあります。
一方、引き継ぐのは場所や設備だけとなるため、売上がなく人材もゼロから始める点がデメリットです。
格安で出店したい企業や、個人で飲食店をスタートさせたい方は居抜きのメリットを活用できます。
ただし、居抜きは従業員の確保や教育、集客が必要となり黒字化するまでに時間がかかりやすいでしょう。
M&A・事業承継であれば、従業員や顧客、ノウハウも引き継ぐことが可能です。
M&Aの実態について、以下の内容を解説します。
それぞれ見ていきましょう。
帝国データバンクの「人手不足倒産の動向調査」によれば、2024年度上半期の飲食業における人手不足倒産は9件で、前年同期は2件と比較すると増加幅が大きくなっています。
また「人手不足に対する企業の動向調査(2024年7月)」によると、非正社員・業種別では飲食店が67.5%で最多です。
人手不足はどの業界でも課題であり、人材を確保できなければ廃業を余儀なくされてしまいます。
外食・飲食業界においては、人手不足解消のために賃上げの他にもさまざまな対策が施されています。
内閣官房「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版」によれば、飲食業の人手不足に対応するため、AIツールやロボットの導入が増加傾向です。
具体的には、以下のような活用例があります。
ただしAIツールやロボットを導入できるのは、ある程度資金のある企業や経営者です。
そのため、すべての飲食店で人手不足の解決策になるとはいえないでしょう。
中小企業における後継者不在・経営者高齢化の課題は、外食・飲食業界でも深刻な問題となっています。
飲食店リサーチの「飲食店事業承継調査」によれば、事業承継の方針は「まだ決まっていない(40.5%)」が最多です。
また「自分の代での廃業・清算を考えている(33.3%)」が2番目に多く、1店舗運営の飲食店は廃業を視野に入れています。
特に個人経営の場合、店主の味や人柄など属人的要素が強い傾向もあります。
属人性が高いと後継者の選定も難しくなるため、M&Aや事業承継をする際は、丁寧かつ慎重な対応が求められるでしょう。
帝国データバンクの「飲食店」倒産動向によれば、2024年1〜9月の倒産件数は650件です。
前年同期比は16.5%増加しており、このままのペースでは過去最多の2020年(780件)を上回る見通しです。
「夫婦で1店舗経営」をする小規模事業者が多い飲食業界は、食材・光熱費の高騰や人材確保・維持の賃上げなどで収益が圧迫されています。
経営が厳しい状況を背景に、事業存続に向けたM&Aで新しい経営者に譲渡することは、有効な選択肢です。
M&Aによって事業の存続・成長を図り、店舗や従業員を守ることが期待されています。
譲渡側のメリットは以下4点です。
M&Aの実施に悩む方は、メリットを把握すると前向きに検討できるでしょう。
事業譲渡すると譲渡益を獲得でき、今まで積み上げてきた価値を資金化できます。
店舗のブランド力や顧客基盤が高い評価を受けると、想定以上の利益を得られる場合もあるでしょう。
譲渡益は、次の事業資金への活用や引退後の生活資金などにあてられます。
小規模店舗の経営者は、自分の退職金を確保していないケースもあり、譲渡益の獲得は大きなメリットです。
経営者が譲渡益を上手く活用すれば、将来の選択肢を広げられるでしょう。
外食業界での廃業には、多くのコストがかかります。
たとえば、下記のようなコストが必要です。
廃業費用は、経営者にとって大きな負担です。
M&Aなら費用を大幅に削減できるため、廃業を選択するよりも経済的メリットが得られます。
従業員を引き継いでもらえたら、解雇に伴う費用が不要となり、雇用を維持できます。
また、事業が継続されると、顧客や地域社会への影響も最小限に抑えられるでしょう。
多くの飲食業経営者は、銀行からの融資に対して個人保証(経営者保証)をしている場合があります。
中小企業庁「経営者保証」によると、約80%の経営者が「借入の全部」または「借入の一部」の個人保証をしています。
個人保証があれば、廃業しても経営者が借金を返済する責任を負わなければなりません。
M&Aで事業が譲渡されると、経営者自身の個人保証から解放され、将来的なリスクの軽減が可能です。
個人保証がなくなれば、金銭的・心理的負担の軽減につながります。
飲食業界では、後継者不在が課題です。
家族内で後継者がいない場合、経営を続けられず廃業を余儀なくされるケースもあります。
大手企業のグループに加われば、資本力やブランド力を活用した経営を目指せると考え、M&A・事業譲渡を行う飲食店が増加傾向です。
M&Aによって後継者問題が解決すれば、店舗や従業員、顧客との関係性を維持したまま事業を存続させられます。
後継者問題の解消は、経営者だけでなく従業員や地域社会にとっても重要な選択肢です。
譲受側のメリットは以下3点です。
詳しく解説します。
M&Aによって、譲受企業は外食産業に新規参入できます。
通常、新たに外食産業をスタートさせるには、下記のような準備が必要です。
既に成功している店舗やブランドを取得すれば、ゼロから立ち上げるコストを抑えられます。
また、スピーディーに事業を開始できるのは大きな魅力です。
飲食業界では、好立地の物件がビジネス成功の鍵を握ります。
店舗の立地は集客に直結します。
新たに出店する場合、条件の良いエリアや物件に空きがない可能性もあるでしょう。
M&Aにより好条件の物件確保や、集客力の高い立地を引き継ぐのは、譲受側にとって大きなメリットです。
また、内装工事や設備投資にかかる費用も抑えられます。
新規出店では、物件探しから許認可取得までに、数ヶ月〜1年以上かかることもあります。
M&Aなら、すでに許可を得ている店舗を譲り受けるため、短期間で営業開始が可能です。
M&Aで既存の人材・ブランドを獲得できる点も、譲受側のメリットです。
飲食店ではスタッフのスキルや、顧客対応力が店舗運営の成否を左右します。
従業員を引継げば、採用・教育コストを削減できます。
また、知名度のある店舗を引き継ぐことで、集客・マーケティングのコスト削減も可能です。
既に信頼されているブランドや経験豊富な人材を引き継いでおけば、即戦力となる経営が可能となり、事業を安定させられます。
M&Aで既存の飲食店を引き継ぐメリットは多く、外食・飲食業界での成長戦略として有効な選択肢となるでしょう。
ここからはデメリットについて、譲渡側・譲受側に分けて解説します。
M&Aのリスクも把握して、解決策を練りましょう。
譲渡側のデメリットは、譲渡先が見つからないリスクです。
コンセプトや立地などが限定されるため、希望する条件での譲渡が進まない場合や、そもそも譲渡先が見つからない場合もあります。
特に、立地条件や経営状況は譲渡価格に影響するため、譲渡益が想定より少ないケースも考えなければなりません。
また、従業員・顧客など、人が離れるリスクも考えられます。
経営者が変わると、後継者や経営方針への不安・不満によって、従業員が離職する可能性もあるでしょう。
店舗のブランド・方向性が変われば、リピート客が離れるリスクもあります。
人離れを防ぐために、譲渡先との合意形成を十分行うことが求められます。
譲受側のデメリットとして、飲食店のコンセプトを変更するのが難しい点です。
飲食店はリピート客に支持されていることが多く、大幅に変更すれば顧客が離れてしまい、売上に大きく影響します。
また、雇用条件やオーナーの変更によって、従業員が退職する可能性もあるでしょう。
既存の従業員が退職してしまうと、採用・教育コストが発生します。
さらに、既存店舗の隠れた負債や問題が見つかる可能性もあります。
リスクを最小限に抑えるためにも、双方が透明性のあるコミュニケーションや調査を徹底することが重要です。
M&Aの専門家を活用すると、契約交渉を円滑に進められます。
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外食・飲食業界におけるM&Aの流れは、下記のとおりです。
一般的なM&Aの流れと変わりませんが、専門家のアドバイス・サポートを受けることによって、円滑に進行できます。
「M&A・事業承継の流れを徹底解説!初回相談からクロージングまで!」のコラムでは、M&Aを進めるポイントも解説しておりますので、併せてご覧ください。
M&Aの注意点は、以下の5つです。
M&A成功に向けて、ぜひ参考にしてください。
M&Aを進める際は、はじめに目的や条件を明確にすることが重要です。
目的が曖昧なままでは、後々トラブルにつながるおそれがあります。
たとえば、下記のようなトラブルが考えられます。
可能な限り条件を具体的に設定して、お互いが同じゴールを共有できる状態を作り出すことが必要です。
経営者だけで難しい場合は、M&A仲介業者や専門家と協力して条件を整えましょう。
飲食業界のM&Aは、スピーディーな判断力が求められます。
なぜなら、外食・飲食業界では、競争が激しい市場環境であるためです。
特に人気の物件やブランドが売りに出る場合、競合企業に先を越される可能性があります。
また、遅い判断ではビジネス環境が変化してしまい、不利な条件になるおそれもあるでしょう。
外食・飲食業界におけるトレンドや消費者ニーズの変化、インバウンド需要の回復など、外部要因の変化に敏感であることが求められます。
事前にシナリオを立て、判断基準を設けておくことが大切です。
個人経営の飲食店は、オーナーや従業員の人柄・料理に惹かれている顧客が多いです。
たとえば特定のメニューが人気な場合、オーナーの味を再現できなければ、顧客が離れる原因となってしまいます。
譲渡側オーナーによる引き継ぎ・トレーニングの期間を確保しなければなりません。
必要であれば、譲渡側のオーナーが一定期間在籍する契約を結ぶと、運営を安定させられるでしょう。
属人的な要素を考慮し、特定の人物が抜けたあとも常連客離れのないよう、運営体制を整える必要があります。
デューデリジェンスは、飲食業界特有のリスクを見極めるためにも欠かせません。
たとえば、下記に関する実態を調査する必要があります。
デューデリジェンスは専門性の高い分野です。
M&Aの依頼経験のある、公認会計士・税理士などの専門家を活用するのがおすすめです。
手数料や費用の詳細は「相談は無料!?M&A・事業承継にかかる手数料や費用は?」をご覧ください。
飲食業界に詳しい専門家のサポートを受けられると、適切な買い手・売り手を見つけ、条件交渉を円滑に進められます。
飲食業界に特化していたり、成約実績のあるM&A仲介会社を選ぶのがおすすめです。
無料相談をしている会社もあり、実績だけでなく自社と合う会社・担当者かどうかを判断すると、満足できるM&Aを行えるでしょう。
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また、M&A仲介会社を複数比較・検討したい方は「【最新版】事業承継に強いM&Aマッチングサイト25選を徹底比較!」と併せてご覧ください。
外食・飲食業界の売却相場には、明確な基準がありません。
大まかな相場は、純資産額に営業利益の2〜5年分を加えた額で計算でき、営業利益は3年分で考えるケースが一般的です。
また、譲渡価格を決める要素は、下記のとおりです。
飲食店の売上は立地による影響が大きく、駅の近くや商業施設内の物件であれば集客を見込めるため、高い評価を受けられます。
長年にわたり顧客に愛されているブランドや、口コミ評価の高い店舗であれば集客コストを抑えられるため、譲受企業にとって魅力的です。
市場トレンドや景気動向も大きく影響するため、専門家のサポートを受けながらタイミングを見極め、適正な価格設定をしましょう。
外食・飲食業界におけるM&Aの事例は、下記の5つです。
どのようなM&Aであったのか、紹介します。
サンマルクHDは、「サンマルクカフェ」や「鎌倉パスタ」などの飲食ブランドを展開する企業です。
2024年10月、ジーホールディングス株式会社(GHD)の株式を取得し、子会社化しました。
概要は以下のとおりです。
サンマルクHDはブランドのさらなる向上や、経営効率化を目指し、長期的な収益性向上を期待しています。
参照:サンマルクHD「株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」
吉野家HDは、「吉野家」「はなまるうどん」などのブランドを展開している企業です。
2022年1月、吉野家HDが保有する株式会社グリーンズプラネットの全株式を、フライドグリーントマト株式会社(FGT)へ譲渡しました。
概要は以下のとおりです。
吉野家HDは、グリーンズプラネットの持続的な成長・企業価値向上を期待しています。
参照:吉野家HD「連結子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ」
ミツウロコグループHDは、エネルギー・電力事業だけでなく、フーズ事業も展開しています。
2024年6月に連結子会社である、カールスジュニアジャパン株式会社のバーガーレストラン事業を、株式会社アレフに譲渡しました。
概要は以下のとおりです。
ミツウロコは今後、アレフとの発展的な提携も視野に入れています。
参照:ミツウロコグループHD「カールスジュニアジャパン事業譲渡に関するお知らせ」
KOZOホールディングスグループは、「小僧寿し」を運営する企業です。
2024年10月に連結子会社である株式会社小僧寿しが、株式会社サニーフーヅの18店舗を譲り受け、直営店にしました。
概要は以下のとおりです。
KOZOホールディングスグループは、地域で愛されてきた店舗の運営方針を維持し、さらなる付加価値の提供に取り組む予定です。
参照:KOZOホールディングスグループ「当社連結子会社による事業譲受けに関するお知らせ」
ゼンショーHDは、「すき家」や「ココス」などの外食事業を広く展開しています。
2023年9月、SnowFox Topco Limitedの株式を取得し、子会社化しました。
概要は以下のとおりです。
食材調達や物流・店舗開発などの分野でシナジーを生み出し、さらなるメニュー開発の強化を図っています。
参照:ゼンショーHD「SnowFox Topco Limitedの株式取得(子会社化)に関するお知らせ」
外食・飲食業界は、全国チェーンを展開する大手企業から個人経営店など、規模や種類の幅広さが特徴です。
特に個人や夫婦経営の小規模店舗では、食材・光熱費の高騰や賃上げなどで収益が圧迫されています。
事業存続の有効な選択肢としてM&Aが増えており、円滑な進行には専門家の活用が不可欠です。
弊社のシェアモルM&Aは、
の4点で、他社様から選ばれております。
また、シェアモルM&Aのコラムでは、下記の業界に関する情報も掲載しております。
シェアモルM&Aでは無料相談を実施しておりますので、こちらよりお気軽にお問い合わせください。
最終更新日: 2025/1/13
ミーティング時に貴社とシナジーのあるクライアントの概要をお伝えいたします。
無料で事業価値の算定も可能でございますので、まずはお気軽にご相談いただけましたら幸いです。
齋藤 康輔シェアモル株式会社 代表取締役
東京大学教養学部基礎科学科在学中に、半導体(シリコン)のシミュレーションを専攻する傍ら、人材会社にてインターン。
インターン中に人材会社向け業務システムを開発し、 大学卒業後の1年間、上記人材会社にて勤務後、 共同出資で2007年3月に上記システム「マッチングッド」を販売する会社、 マッチングッド株式会社を設立。
12年の経営の後、2019年1月に東証プライム上場企業の株式会社じげんに株式譲渡。
2019年9月、売却資金を元手に、シェアモル株式会社を設立。
自身のM&Aの経験から、買い主と売り主の間での情報の非対称性や、 M&A仲介会社が出している付加価値に疑問を感じ、 自身が思わず依頼したくなるような、 付加価値の高いM&A仲介サービスを提供したいと強く思い、 IT技術をフル活用したM&A仲介事業「シェアモルM&A」をスタート。
現在はシェアモルM&Aと、SEOに強い文章をAIが作成する「トランスコープ」を展開中。