最終更新日: 2025/1/13
「SPAとはどのようなものか、概要を知りたい」
「SPA締結時の注意点があれば知りたい」
M&Aを検討している方の中には、このようにお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
SPA(株式譲渡契約書)は、株式譲渡によるM&Aには欠かせない契約書です。
本記事では、SPAとは何かを解説するとともに、目的や重要性、記載される内容について解説します。
SPA作成の流れや締結時の注意点についても説明するので、ぜひ、円滑にM&Aを進める参考にしてください。
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まずは、SPA(株式譲渡契約書)の概要について以下の2点を説明します。
それぞれ見ていきましょう。
SPAとはStock Purchase Agreementの略で、株式譲渡における最終契約書のことです。
M&Aにおいて、売り手企業と買い手企業が、株式の譲渡やその他諸条件に合意した際に作成され、取引条件や双方の権利・義務などについて細かく記載されています。
日本語では「株式譲渡契約書」と呼ばれます。
SPAを締結することで、売り手企業には株式譲渡を行う義務が生じ、株式譲渡がより確実なものとなります。
また、SPAには買い手と売り手双方の義務や責任、免責事項、例外規定などが明記されています。
契約内容を文章として明確に示すことは、M&A取引を円滑に進め、後のトラブルを防ぐために効果的です。
SPAの内容を基に株式譲渡が実行されるため、SPAはM&Aにおいて最も重要な契約書と言えるでしょう。
SPAの記載事項は、おもに以下の7つです。
それぞれ簡単に説明します。
基本合意内容には、おもに以下のような内容が含まれます。
基本合意内容はSPAの骨組みとなる事項で、M&Aの概要を理解するのに役立ちます。
決められた形式はありませんが、一般的には支払方法・譲渡手続き・表明保証・損害賠償などと分けて、それぞれの事項として記載されます。
譲渡価格は、M&A仲介会社や会計士が算出した株価を基に、売り手と買い手の話し合いによって決まります。
株式譲渡の価格算定方法や株式譲渡時にかかる税金について詳しくは、
のコラムをご覧ください。
SPAには、譲渡代金の支払い条件や支払方法についても細かく記載されます。
なお、株式譲渡の支払方法としては、銀行振込や手形が一般的です。
銀行振込の場合は、銀行名・支店名・口座番号などの基本的な情報とあわせて、いつまでに代金の引き渡しを行うのかなどに関しても明記されます。
また、多くの場合、支払い遅延や不払いが起きた際の対応についても記載します。
株式名簿とは、株式を発行する会社が株主の情報を管理するために作成する帳簿のことで、
株主の氏名・住所・保有株式数・取得年月日などが記載されています。
株式名簿は、株式譲渡や相続などで内容に変更があった場合には、情報の更新が必要です。
そのため、SPAには株式名簿の変更に関する合意内容についても明記され、株式名簿の更新手続きは売り手企業と買い手企業が共同で行います。
表明保証は、売り手が買い手に対して「契約に関する事項が真実であり、正確であること」を保証するものです。
表明保証を根拠として、買い手は売り手に対して責任を追及できるようになるため、買い手にとってはM&Aのリスクを軽減する手段のひとつと言えるでしょう。
一方、売り手側としては、表明保証が事実と異なっていた場合には損害賠償の対象となる可能性があるため、自社に関する情報は正確に提供し、表明保証についても慎重に行う必要があります。
契約解除条件は、相手に重大な表明保証違反や契約違反があった場合に、契約を解除できるようにするものです。
契約解除条件とあわせて、契約解除した場合の対応や損害賠償についても記載されます。
損害賠償については、一般的に、買い手は「売り手の表明保証に虚偽があった場合、相応の損害賠償を請求できる」といった内容を盛り込みます。
一方、売り手側にとっては、損害賠償請求額の上限規定や条件などをしっかりと確認することが大切です。
M&A後に売り手が同じ業種で新たな会社を立ち上げると、買い手企業にとって不利益となる恐れがあります。
そこで、買い手企業は「M&A成立後に売り手が同じ事業をしない」といった競業避止義務をSPAに盛り込みます。
一方で、売り手企業は「義務は誰に適用されるか」「期間はどの程度か」など、細かい条件までよく確認することが大切です。
合意管轄とは、万が一トラブルが起きて契約に関する紛争が発生した場合に、裁判を行う裁判所を当事者同士の合意で決めておくことです。
合意管轄には、以下のように専属的合意管轄と付加的合意管轄の2種類があります。
専属的合意管轄 | 特定の裁判所でしか訴訟を起こせないことを取り決めるもの |
---|---|
付加的合意管轄 | 法により管轄が決まる場合には、その裁判所に従う旨を記載すること |
どこの裁判所で裁判を行うかを事前に決めておくことで、裁判手続に関する経済的・時間的負担を軽減できます。
SPA作成の流れは、以下のとおりです。
それぞれ説明します。
デューデリジェンス(企業調査)とは、M&Aを行う際に、対象企業について事前に調べることで取引にともなうリスクや企業の価値を洗い出すプロセスです。
調査では、財務状況・法務リスク・将来の収益性・運営上の問題点・知的財産権の状態など、さまざまな視点から対象企業を評価します。
買い手はデューデリジェンスの結果に基づいて、買収の目的や価格といったSPAの基本的な内容を決めていきます。
株式譲渡の承認手続きとは、譲渡制限株式を譲渡する際に、会社の承認を得るための手続きです。
譲渡対象企業に取締役会がある場合は臨時株主総会を開いて議決を行い、取締役会がない会社では株主総会の普通決議により承認手続きを行います。
株式譲渡の承認を得ることで取引の正当性が確保され、譲渡手続きが可能になります。
交渉やデューデリジェンスの結果を基に、SPAを作成を進めます。
SPAの作成は、売り手と買い手双方が合意した取引内容を明文化し、法的な拘束力を持たせる重要なステップです。
一般的に契約書の作成は、買い手側企業が行います。
作成したドラフトを基に弁護士やM&A仲介会社と連携して協議や修正を繰り返しながら、双方の要望や懸念点をクリアにしていきます。
最終的に双方が納得できる内容の契約書が完成したら契約を締結し、M&Aを実行します。
M&AはSPAを作成し、締結しただけでは終了しません。効力を発揮させるためには株式名簿の更新手続きが必要です。
SPAを締結したら株主名簿書き換え請求の手続きをし、速やかに更新を行いましょう。
書き換えが完了すると証明書が交付されて、買い手は正式に株主としての権利を取得できます。
SPA締結時は、以下の5点に注意しましょう。
それぞれ説明します。
SPA締結前に入念なデューデリジェンスを行うことは、M&Aを円滑に進め、成功させるために重要です。
デューデリジェンスでは、買収対象企業の事業・法務・財務・システム・人事などさまざまな角度から調査を行い、対象企業の価値は適正か、どのようなリスクが存在するのかを把握します。
SPAは株式譲渡における正式な契約書であり、合意した後は基本的に変更や取り消しができません。
そのため、売り手と買い手の双方がすべての項目をきちんと理解して合意することが不可欠です。
とくに、買い手側が契約書を作成する場合には、売り手側は「買い手に有利な条件が含まれていないか」についても細心の注意を払って確認しましょう。
SPAを作成する際は、株式譲渡後の役員や従業員の待遇についても考慮が必要です。
M&Aにともない人材が流出し、事業の安定性に悪影響を及ぼす可能性があるため、役員・従業員の処遇についてもきちんとSPAに記載しましょう。
従業員の処遇についてSPAに明記することで、人材流出が原因となるトラブルを最小限に留められるでしょう。
契約書は、種類や取引内容に応じて収入印紙が必要な場合があります。
印紙税を正しく支払うことで、契約書が法的に効力を持つ正式な書類となりますので、SPAを作成する際も印紙の貼付を確認しましょう。
一般的に、SPAに印紙を貼る必要はありませんが、SPA内に代金受領に関する記載がある場合は印紙が必要です。
事前に代金を受領するケースでは、SPAに受領金額や日時、受領者を記載して印紙を貼りましょう。
M&Aには専門的な知識が求められるため、M&Aを行う際は弁護士や税理士、M&Aアドバイザーといった専門家の支援が不可欠です。
とくに、SPAの記載事項は専門知識がないと理解しづらいものが多く、また分量も多いため、個人で確認するには莫大な時間がかかります。
さらに、記載事項に不備や確認漏れがあると、契約自体が破綻するリスクもあります。
そのため、M&Aを進める際は専門家に相談し、リスクを最小限に抑えることをおすすめします。
M&Aの相談先について詳しくは、無料で相談可能?M&A・事業承継のオススメ相談先や相談方法とは?をご参考ください。
今回はSPA(株式譲渡契約)の概要をお伝えするとともに、作成の流れや締結時の注意点を解説しました。
ぜひ、この記事を参考にSPAの重要性と注意点を知り、円滑にM&Aを進めていただければと思います。
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齋藤 康輔シェアモル株式会社 代表取締役
東京大学教養学部基礎科学科在学中に、半導体(シリコン)のシミュレーションを専攻する傍ら、人材会社にてインターン。
インターン中に人材会社向け業務システムを開発し、 大学卒業後の1年間、上記人材会社にて勤務後、 共同出資で2007年3月に上記システム「マッチングッド」を販売する会社、 マッチングッド株式会社を設立。
12年の経営の後、2019年1月に東証プライム上場企業の株式会社じげんに株式譲渡。
2019年9月、売却資金を元手に、シェアモル株式会社を設立。
自身のM&Aの経験から、買い主と売り主の間での情報の非対称性や、 M&A仲介会社が出している付加価値に疑問を感じ、 自身が思わず依頼したくなるような、 付加価値の高いM&A仲介サービスを提供したいと強く思い、 IT技術をフル活用したM&A仲介事業「シェアモルM&A」をスタート。
現在はシェアモルM&Aと、SEOに強い文章をAIが作成する「トランスコープ」を展開中。